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インサイトと占い

「優れた編集者・ライターは、インサイトを満たす企画をつくる。」

これは、先日の編集・ライター養成講座にて、
博報堂執行役員、博報堂ケトルクリエイティブディレクター・編集者である
嶋浩一郎先生から学んだことだ。

そして、ふと気が付いた。

これって占い師と同じだ、と。

意外な共通点?編集者・ライターと占い師

私はスピリチュアル占いのヘビーユーザーだ。
年2回のペースでかれこれ5年ほど通っている。
つい先日も、夫の目を盗んで1時間15,000円も支払い、訪問占いを楽しんだばかりだ。

占いといえば、信じる・信じない派で分かれやすい。
特に男性は興味・関心のない方が大多数だ。
それは、おそらく根拠が不明確な点にあると思う。

しかし、占いヘビーユーザーの私からみると、
徹底した取材と確かな根拠をもってコンテンツをつくりあげる編集者・ライターと、
科学的に根拠の乏しい情報をもとにカウンセリングを行う占い師には、
ある共通点があった。

それは、“ターゲットのインサイトを捉えて満たす”ことだ。

スピリチュアル占いとの出会い

スピリチュアル占いは、占い師と相談者の対話ベースで進む。
その際に、相談者のオーラや魂からのメッセージといったスピリチュアル要素を参考にする。
一般的な占いと異なり、タロットカードや手相などの道具は使わない。

そんなスピリチュアル占いと出会ったのは、
数年前、恋に悩める友人と面白半分で訪れた占い館だった。
そこで、こんな言葉を突き付けられた。

「あなたの本心は、東京に残りたいと言っています。」

このとき、私は新卒から3年間働いた東京の会社に辞表届を出していた。
田舎へ帰るためだ。
理由はふたつあり、ひとつは上司と肌が合わなかったこと。
もうひとつは、広島の両親から家業を手伝ってほしいとお願いされていたことだ。

こつこつと田舎へ帰る準備を既に進めていた私は、
何をいまさら、と思った。

しかし、すぐに気が付いた。
「そうだ。私、本当はまだ東京で頑張りたいんだ」と。

人気の占い師はインサイトを見抜く

自分のことなのに、自分の気持ちに全く気が付いていなかった私。
それは、「いつか故郷に戻らなければいけない」という周囲の期待や自身の思い込みに誤魔化されて、
自分のしたいことをいつの間にか見失っていたからだと思う。

この占いがきっかけで、東京に残ることを選んだ私は、
東京での転職が決まり、結婚相手にも巡り合えた。
(あの時の判断は間違っていなかった)

インサイトとは?

ここで、いったん、嶋先生の授業に戻ろう。

▼「インサイト」とは、“人間の隠れた欲望であり、満たすものが目の前に出現したときに発動するもの”
▼“人間は何が欲しいか分からないものを言語化してくれるプレイヤーに感謝する”

まさにこれを占いで体験したのだった。
占い師に、目の前に投げかけられないと気が付けなかった本心。
本心を言語化してもらえたことに心を掴まれ、すっかり常連になってしまった私。

つまり占い師は、
カウンセリングにより相談者自身が気付いていない欲望を言語化してくれるスーパープレイヤーなのだ。

インサイトを発見するにあたり、
編集者やライターは街を観察したり、違和感をノートにメモしたりする。
占い師は、オーラや魂からのメッセージなどのスピリチュアル要素を参考にする。
ただ、ゴールにたどり着くまでの手段が異なるだけのように思う。

インサイトを捉えてやさしく抱きしめろ!

嶋先生はこうも言っていた。

「インサイトを見つけたら、ひねらず、やさしく抱きしめろ」

優れた編集者・ライターを目指すみなさん。
企画を考えるときには、まずは売れっ子占い師になったつもりで、
インサイトをやさしく抱きしめてあげると面白いかもしれない。


文責:峠真理子(とげまり)

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