ブラヒロシ・東海道16 知立-鳴海

世良 一夢
 
 今日から尾張です。尾張と言えば名古屋ですが、東海道の宿場は知立、鳴海、宮(熱田)の三宿場で、名古屋は通りません。今日のポイントは鳴海宿の手前の桶狭間と絞り染めの有松です。
 最初の宿場の知立は、昔「池鯉鮒」と書いたそうです。芭蕉の句に「不断たつ池鯉鮒の宿の木綿市」というのがあります。この辺は当時、木綿が有名だったらしいので、これが隣の「有松絞」に繋がっているのでしょう。
  桶狭間で敗れた今川義元は、戦い前日は知立辺りに居たらしく、次の鳴海との間に「桶狭間古戦場跡」があります。奇襲が成功したというから大峡谷なのかと思っていましたが、予想に反し、丘陵の、どちらかと言えば住宅地の中でした。多少うねっては居ますが、それ程でもありません。ただ、見通しは効き難く、戦い当日は大雨だったらしいので、地元者に有利だったかも知れません。資料によると、合戦は昼頃だったらしいし、当日の兵力差はさほど無く、正面衝突だったとする説もあるようです。名古屋から三十分位の名鉄・中京競馬場前から徒歩数分の所です。
 ここから2km位行くと有松の街並みに入ります。浮世絵にあるような、昔から続く絞り染めの問屋が数多く並ぶ東海道でも非常に珍しい所で、祭りの時の豪華な山車を展示している有松山車会館はお勧めです。東海道の各宿場に名産品は沢山ありますが、魚介、農作物やその加工食品が多く、工業製品が名産なのはここしかないように思います。尾張藩から専売を許可されていたそうで、綱吉時代に豊後高田の物を真似たのが始まりとなっていました。弥次喜多もここで「有松絞」の手拭いを買っています。統治者の殖産意識が今日の街の繁栄をもたらしているようです。



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