ブラヒロシ・東海道23 草津・大津編

世良 一夢

 石部宿を過ぎると東海道五十二番目の宿場、草津です。JR草津駅傍の本陣跡辺りに中山道からの合流点があり、それを通り過ぎて暫く行くと琵琶湖が現れます。そこが瀬田の唐橋です。
 唐橋の北側に現在の幹線道路の瀬田大橋がありますが、丁度そこを通過する時に、大橋の橋の下で面白い情景に出会いました。まさにその橋脚の真下で若い男性が楽器の琵琶の練習をしていたのです。それが何と上手な事!どんな職業の人だったのでしょうかね。さすが京に近づいたと実感しました。
 瀬田のすぐ近くには、紫式部ゆかりの石山寺があります。琵琶湖を一望できる四季折々の景勝地でお勧めスポットです。
 石山から大津に抜ける道沿いの住宅地には義仲寺があります。木曽義仲、巴御前の墓だけでなく、芭蕉の墓がある事でも有名です。芭蕉は義仲の大ファンだったようで、亡くなった時の遺言によりここに葬られたそうです。小さなお寺ですが、落ち着いた雰囲気の良いお寺で、色々な資料も展示されています。辞世の句「旅に病んで夢は枯野をかけ回る」他のいくつかの芭蕉句碑があります。
 義仲寺から大津宿は直ぐですが、本陣跡のあるメインストリートに大津事件の発生場所がありました。碑には、「此附近露国皇太子遭難之地」となっていました。明治二十四年(1891)に、訪日中のロシアの皇太子に警官が切りつけた事件で、日露戦争開戦十三年前の事ですから、当時はさぞかし外交上の大問題になった事でしょう。
 さあ、ここを抜けるといよいよ東海道最後の関所、逢坂山に向かいます。

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