ブラヒロシ・東海道21 関・坂下・鈴鹿峠編

 世良一夢

 伊勢神宮への寄り道から東海道に戻ります。四日市から伊勢街道を迂回したことで、石薬師、庄野、亀山は飛ばし、四十七番目の宿場、関宿に入ります。ここまで来ると東海道も終盤戦。最後の難所、鈴鹿峠を目指します。
 関宿は東海道の中でも江戸期の町屋がそのまま残っていることで有名で、国の重要伝統建築物保全地区に選定されています。二百軒以上が1.8kmに続く様子は圧巻です。鈴鹿峠を控え、ここには関所があったそうで、広重はまだ明けやらぬ早朝の大名行列出立の様子を描いていますね。
 本陣、脇本陣等の旧跡も多数残っていますが、当時の旅籠が資料館(玉屋歴史資料館)になっており、実際の宿泊の様子が良く分かります。名物菓子の店や地元食事処が古い家並みの中に並んでいるので、一軒ずつ覗いているだけでもかなり時間を要しますが、街道一のお勧めスポットです。 
 その関宿から小一時間歩くと坂下宿で、まさに鈴鹿峠の坂の下です。鈴鹿峠は伊勢と近江の国境。標高は箱根よりはるかに低いのですが、かなりの急坂で旅人は相当難渋したであろうことが容易に想像できます。鬱蒼とした森が続き、いかにも昔は山賊が跳梁したであろう風情で、道筋には山賊に由来する地名や言い伝えが多数残っています。
 こんな山の中に「延喜式内片山神社」という由緒ありそうな神社を見つけました。祭神は伊勢神宮ゆかりの倭姫命とのこと。境内には「鈴鹿流薙刀術発祥の地」と言う大きな石碑があり、如何にも歴史の有りそうな場所でした。
 さあ、一気に峠を越え、近江の国に入ります。

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