6/3

あれ、月末の家賃引き落とされてなくない?
と思って管理会社に確認したら、
大家さんが亡くなっていた。

口座番号に変更はないが今回のことで名義が変わりうまくいかなかったそうで、死んだら名義が変わるのか。そりゃそうか。そこらへんのことって自分のことでも他人のことでも、もしかしたら今まで考えたことがなかったかもしれない。

2ヶ月前、このマンションに住み始めた。
引っ越しの第一条件として、広さをとったら和室になった。
和室だけど悪くないかもと思えたのは、ドアの色がセージ色で可愛かったから。
加えて古い建物ならではの牛乳瓶受けがついていて、今後使うことのないだろうこの愛らしいギミックに心ときめいてしまった。

部屋を決める前、なんて読むんだこのマンション名はと思った。
別に「燦 」とか「翡」とかそういうのではなく普通っちゃ普通なんだけど、大家さんが真下にひとりで住んでいると聞いて少しめんどくせーと身構えていたので、マンション名のセンス即ち是れ大家のセンス・センス・センス…と斜めから見すぎていたのかもしれない。

引っ越し当日、挨拶に伺ったところ感じの良いチャキチャキとしたおじいちゃんが現れて、大丈夫だなと思った。何でもない日なのになぜか豆しぼりを首から下げていて、ちょっと良いなと思った。
それから2ヶ月後。

以来、顔を合わせていない。
ので、特にそれ以上の思いはないというのが本音だけど、
こういうタイプの死が初めてなので不思議な感じだ。

もしかしたら私が部屋でだらだらYoutubeなんかを観ているときに、その下で人が死んでたのかな、とか。そんな可能性もなくはないわけで。
たぶん違うけど、仮にそうだったとしてもそんなに変な気持ち悪さや怖さはない。入居前に管理会社から、大家さんが定期的に通院していることは聞いていたから、もしかしたらお亡くなりになるもっと前に、入院などしていたのかもしれない。

次の大家は、娘さんに引き継がれるとのこと。
家賃の口座名義云々の関係もあり、封書でいろいろと送られてくる前に管理会社の人が先に名前だけを教えてくれた。
マンションと同じ漢字が一文字使われていたので、
もしかして:愛 と思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?