AIの方が正確

今私は自動車保険金の査定部門に所属している。
やることとしては、修理工場から見積もりを受け取り、中身が今回の事故の修理に対して適正であるかどうかを判断するというものになっている。

それに際して、SC長や教育担当によく言われるのが、「事故の状況を想像して、そういう傷の付き方になるのかどうか考えるように」と言われる。

実際に事故を起こしたことも、事故車の傷を見たこともない、全く経験のない人間には、「こういう事故だったらこういう傷になる」ということも分からない。
しかし、経験を積む前からそういうことを言われる。

実際には、前進中に付いたのか、行進中だったのか、スピードばどれくらいだったのか、ハンドルは切っていたのか、切っていたのであればどっちかなどで傷の付き具合などは全然変わってくる。さらに接触物が何であるかでも全く異なる傷になる。
これらを運転者に聞いて、傷の状況を修理工場に聞いて、整合性を確認するということを無経験の者に求めている。

正直最初は全く何がなんなのか分からなかった。今でもなんとなくこじつけで払っている。その中でふと思った。
これは、過去の事故状況と損傷具合のデータを集め、今回の事故状況を機械的に判断すれば、事案担当者という人間の判断よりも正確に査定できるのではないかと思った。

実際、事案担当者は何で判断するのかといえば、運転者から聞いた事故の状況、修理工場から聞いた損傷箇所、損傷具合、そして送られてくる損傷箇所の写真を以て、今回の事故で付いた傷かどうかを判断する。

アイデアや発想力などは必要ではなく、過去の事例に基づいて正しいかどうかを判断するというだけになっている。

そこに人間の労働力を割くというのはムダなのではないだろうか。

よく今後10年間でAIに代替される仕事として保険金査定の仕事は上位に上がってくることが多いが、もうすでに技術的には可能なのではないかと思う。顔認識の技術などがあれば写真を読み取ることもできるし、車のパーツにはそれぞれ名称があることから、損傷箇所の特定にも困らないと思う。

なぜ、進めていかないのだろうか。進んではいるけれどまだ現場には反映されないところなのだろうか。

人間の雇用を守ろうとしているのだろうか。

最近ではウォール街の証券マンがAIに仕事を奪われているというニュースを見る。基本的に金融系の職に就いている人は給料が高い。そしてAIと金融の相性も良い。なら、AIにやってもらった方が人件費安く済むのでは。ということでそういうニュースになっているとのこと。

日本は保守的な考えが強すぎて、前例がないものには取り組みたくないのだろう。誰かが一度試したものじゃないと不安で、失敗した時の責任を取りたくないのだろう。挑戦を諦めているのだろう。

日本企業は早くAIを導入して、人間がやらなくて良い仕事はAIにやらせて、もっと人間として必要とされている仕事を人間に任せた方が良いと思う。

変化が遅いのは変化を拒んでいる者がいるからだ。

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