発達性読み書き障がい(ディスレクシア)について

▷まずLDとは…

医学、心理学、教育学分野によって概念が異なる。
よって何を基準にするかによって異なるが、
以下を満たす状態の総称である。

⑴全般的な知的機能が正常範囲にある(おおむねIQ85以上)
⑵特定の学習領域における習得と使用困難が認められる
⑶視覚や聴覚などの末梢感覚器の障害が認められない
⑷学習に影響を及ぼすほどの生活環境の問題が認められない
⑸本人の学習に対する意欲に問題が認められない
⑹中枢神経系の機能異常が背景にある


▷LDの中でも馴染みが深く、
医学的にもその表現が認められているのが
「dyslexia(ディスレクシア)」
いわゆる「読み書き障がい」である。


▷読みや書きの困難さはどこから生じるのか?

読みや書きは、単独の認知機能ではなく、
短期記憶や視知覚認知、聴覚認知などの
様々な基礎的な認知機能に支えられて獲得される
高次な認知機能である。

困難さの原因がどこから生じているかは、
その子どもによって異なる

→子どもに効果的な指導を行うためには
 まず、どこに困難さがあるのかを明らかにすることが重要


▷耳(聴覚)にある時
音韻意識

語の音の構成や、
語を構成する個々の構成音についての知識、
そして構成音を操作できる能力のこと(原,2001)

例)「桜」という言葉が
 「さ・く・ら」という3つの音で構成されていることや、
 真ん中の音が「く」と理解していることである。
 また、しりとりの様に、最後の音を語頭に移動させて、
 単語をイメージする構成音の操作にも使われる。

音韻意識に困難があると…
音が扱うことが苦手
つまり、
音と文字との対応関係の学習に影響を及ぼす。

定型の場合、
会話や聴取を通して、
文字と音の対応づけ学習が進む。
/ka/→「か」

ディスレクシアの場合、
文字と音の対応づけが難しいので、
音から対応する文字を再生するのが難しい(逆もしかり)。
/ka/→「な」?「か」?

結果として、
読むことに時間がかかり、
読み誤りも生じやすくなる。

▷目(視覚)にある時
視覚認知機能

絵や文字、図形等の視覚情報について
把握・分解・統合などを行う総合的な能力。

例)「休」という漢字を見た時、
 線の交わりや、
 パーツの構成などを認識する力。

 字形や文字列パターンを捉える際に、
 視覚認知機能が強く関与する。

 視覚認知機能に困難があると…
 漢字や文章を、音に変換する際の
 正確性や流暢性が阻害される。
 また、視覚性記憶の弱さから、
 漢字を書き間違え(部首とつくりが反対になる)たり、
 読むのに時間と労力が必要になったりする。


⇒視覚と聴覚に注目してみてきたが、
 読みが複数の基礎的要因から成立していることからも、
 一つの原因に特定してアプローチしても
 効果を発揮しないことがある。

 困難さの原因は子どもの数だけあり、
 目の前の子どもの状態を多角的にアセスメントし、
 それに基づいた指導・支援を行っていくことが
 重要と言える。

北洋輔・平田正吾.(2019).発達障害の心理学―特別支援教育を支えるエビデンス.福村出版.

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