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雑記(いつかをぼんやり思い浮かべて)

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要は未分類の記事たちです。コラム、エッセイ、詩もなんでもござれなマガジン。 似たようなジャンルの記事が蓄積されたら、ここから別の正式なマガジンに移行されることもあります。
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#エッセイ

林檎の味

正しくありたいと思ってた 芯を貫きたいと思ってた 僕らは間違いだらけだと思うようになった …

10

日脚

風を感じて 空を見上げて 深呼吸をした 小さな命 僕はそんな小さな命 小さく誇る

9

ペンとノートとイチとゼロ

「別に。言いたいことなんてない」 「そう。聞きたいことがあったけど、その機会を逃しちゃっ…

10

まことしやかな輝き

この空は、まだ夏の星かな。 それとももう、冬の星かな。 秋の夜風は日に日に冷たさを増して…

7

風の行く末

七月某日。 ベランダから見えるうちのマンション(六階建)と同じくらいの大きな木に梯子が掛け…

15

見た花と、見えた花

一枚の花びらが足下に舞い落ちた 昨日の僕が聞いた花の声は その場で花から聞いた人にしかわ…

19

ラストメッセージ

これで大丈夫 友達が裏返しになっただけで済んだテーブルをドアに立てかけた これじゃあ足りないよ 僕はスツールを二つ持ってテーブルの手前に寄せる その上に鉄筋が剥き出したコンクリートをなんとか拾って乗せた 部屋があんな風に吹き飛んだというのに 僕らは擦り傷で済んだだけでも奇跡だった これ以上の奇跡が望めるほど楽観的に生きてこなかった僕たちなのに バリケードを張って一縷の望みに賭けた カーペットにはガラス片が散らばっている 友達は脚のなくなったスツールの天板を

君の右頬を不器用な小指でつつく

夕立が去って雲間から陽光が戻ってきた。 とは言っても、もう少しで夜になるけど。 さっきま…

12

雷・切る・空調・毛・ゴロゴロ・さつき

あ、雷だ。 午後九時を過ぎた辺りから徐々にじめじめと部屋が暑くなってきた。タオル地の半袖…

11

メランコリーを取り出して。

悩みが大きいとき、はぁっと溜息が出る。 ネガティブな溜息は、腹の奥底に留まる悩み物質が息…

13

意志も押されぬ石問答

君がバカみたいって叫んで 知らねえよって言い返した 校庭で投げた石がいま 目の前の川に落…

12

一筆書きのセンチメンタル

雨上がりの路面には、ところどころ街の断片が映し出されている。 昨夜までの風の嘶きとは打っ…

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マサラ先輩 (Part 2/2)

Part 1 はこちら 大学を出て駅前の本屋で時間を潰しているとマサラ先輩から連絡が来た。送ら…

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マサラ先輩 (Part 1/2)

大学に入学したての頃、特にやりたいこともなかった僕は勧誘されるがままに小さなバスケットボールサークルに入った。人数は十人くらいで全員が友達といった雰囲気の良いサークルだった。 そこで雅夫先輩という人に出会った。彼は三年生で先輩たちの中ではあまり目立つ方ではなかったが、いつもニコニコしている人だ。そして雅夫先輩は周囲の人からマサラ、二年生からもマサラ先輩と親しげに呼ばれていた。 雅夫先輩はカレーが好きで、名前と字面が似ていることからきっとその名が付いたのだろう。新歓では特に