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大好きな仲間と過ごした第三の場所

この度、スターバックスコーヒーを退職いたしました。

急に辞めることになってしまったこと、感謝の気持ちを伝えられなかったこと。辞めてから1ヶ月経った今でも心がきゅっと苦しくなる時があります。

一緒に働いてきたパートナーの皆さんには、どれだけありがとうと言っても足りないくらい、いっぱいの温もりをいただきました。そんな私の気持ちもこれまであまり伝えてこなかったので、どんなことを思って過ごしてきたかを、ちょっぴり知ってもらえたら嬉しいです。


幸せをもらった

2021年7月
ほんの少し、嫌なことがあってどんよりした気分
帰り道、わんわん泣きながら車を運転していた
こんな日くらい、自分にご褒美あげてもいいよね…。

夜も遅くて空いているお店がなかったので、近くにあるスターバックスに入った
実はこのとき、スターバックスには人生で片手で数えられるほどしか行ったことがなかった

何やら限定のものが出ていたので、それを頼んだ
「JIMOTOフラペチーノを頼まれるのは初めてですか?」
「あっ、はい…!(話しかけられた….!)」
「今回の新作は都道府県ごとに違う味が出ているんですよ☺️お客様のご出身はこちらなんですか?」
「いえ、大学で今年こっちにきたばかりで、出身は和歌山です!」
「遠いところから来て頑張ってるんですね!和歌山のJIMOTOフラペチーノはみかんだった気がします!美味しそうですね」

スターバックスでは店員さんが話しかけてくれるということは風の噂で知っていたけれど、本当に話してくれるんだ。
別に私を元気づけようと思ってしてくれたわけじゃないのに、こんなに幸せな気持ちにできるものなんだな…。

ここで働きたいと思った

2022年9月
ある日、友達とのお出かけの帰りにスターバックスに立ち寄った
求人情報が書かれたボードが置いていた
「こんな普通に求人出してるものなんだね〜」と話し合ったのを覚えている

スターバックスで働く自分なんて考えたことなかったけど、もしここで働けたらどんなに素敵だろうか…と想像してしまった

その時はまだ、本気で働くつもりはなかった。というより、自信がなかった
応募することすらもおこがましいと思っていた
人と話すの苦手だし、あんなにキラキラしている人たちに囲まれて馴染める気がしない

でも、もしもできたなら…。

2022年1月
それから数ヶ月経った頃もまだ、もしスターバックスで働けたら、という妄想で頭の中がいっぱいになっていた

友達に相談することにした
何アホなこと言ってんのって言われるかな。と思っていたのに、想像もしていなかった返事が返ってきた
「スタバで働きたいなと思ってんねんけど…」
「え、いいやんか」「なんならすでに働いてそう」

もうこれ以上迷っても仕方ない、落ちるなら落ちて、すっぱりと諦めよう
それくらいの気持ちで、えいっと応募のボタンを押した

そこまででもう十分お腹いっぱいだった
この時が私の人生で一番勇気を出した瞬間だったと思う

心がしんどかった日にお店に来て、店員さんがお話ししてくれたおかげで自然と気持ちが晴れたこと
実は受験期に初めて新潟に来た時、スターバックスで深夜まで勉強たことがあって。そろそろ帰らなきゃ、と片付けをしていると、勉強お疲れ様です!と声をかけてくれた時のこと
訪れた数こそ少ないけれど、スターバックスにもらった、幸せな日のことを話した
どんなに忙しい時でも、お客様一人ひとりに気を配って寄り添いができるパートナーになりたい
特別な日ではなくても、いつも通りの毎日に小さな幸せを添えられるようなコネクトをしたい

面接が厳しいことを聞いていたから、やっぱり緊張はしたけれど
応対してくれたパートナーさんの、心からスターバックスを愛しているということ、そして一緒に働く仲間を、これから入る仲間を大切にしたいという気持ちが伝わってきたからこそ、私がスターバックスにしてもらったことへのありがとうの気持ちを伝えたくて、次々と言葉が溢れてきた

もう、諦めようかと思った

2022年3月
働き始めて1ヶ月が経った頃、両手を怪我してしまって、完全に休むことになった

少し休めば治ると思っていたけれど、どんなに気をつけて生活しても、病院に通っても、全く治る気配がない

ドリンク作成はおろか、まだレジの操作もわからないような見習いの頃、まだ一人で何もできない状態だったし、戻ってもこの先みんなと同じ量の仕事はできないとわかっていた
ここで働かせてもらっただけで十分、もう辞めてもいいかなと半分諦めかけていた

悔しい、寂しい、申し訳ない。そんな気持ちでいっぱいで、なかなかお店に顔を出せなかった
そろそろ今後の話をしようと、勇気を出してお店に行った

お店のドアを開けるや否や、「せなー!」と名前を呼んでくれて、手を振ってくれた

それが本当に、本当に嬉しくて

まだ手の怪我が治っていなくて十分に働けない、迷惑をかけてしまうかもしれない。だけど、まだ働きたいです と伝えた
無理しなくていいよ、できないところはカバーするから気にしないで!と返事をくれた

2022年6月
2ヶ月の休業期間を経て、無事復帰することができた

せなさん
復活を待っていました!おかえりなさい!
復帰してからの1週間はどうでしたか?メンバーも増えて働きやすい環境になったと思います。色々思い出しながらトレーニング頑張っていきましょう!
せなさんはコーヒーに興味を持って取り組んでくれる貴重な仲間なのでゆっくりとそんなお話できるのを楽しみにしています。
これからも頑張っていきましょう!!
2022.6.12 

大好きなパートナーさんより。GACカード

その怪我は辞めるまで治ることはなかったけれど
何かある度に、大丈夫?と聞いてくれたり、重いものを持とうとするとすぐに手伝ってくれたり何も言わずに変わってくれたり

迷惑も心配もたくさんかけたけれど、とても嬉しかったです
ありがとうございました

一生懸命だった

私がスターバックスにいる目的のひとつ
楽しかった日はもちろんのこと、嫌なことがあった日も、なんでもない日常でも、あ〜、今日も幸せな一日だった!と思ってもらうこと
その人の笑顔が家族、友達に伝染して、笑顔あふれる街になればいいな

そのために、自分がしてもらって嬉しかったことであり、私にとって最も難しい挑戦である”お客さまと話す”ということをしたかった

人と話すのが苦手だ、人見知りだ、 というのは相手にとってどうでも良いことで
私はスターバックスのお姉さんになったんだから!と言い聞かせた

はじめはドライブスルーのレジを担当することが多かったので、車が来るたびに深呼吸をして、とびっきりの笑顔でお迎えすることを心がけた
私はそこでしかお客さまとつながることができないからと、その瞬間に全てを賭けた

そうやってお客さまと話しているうちに気づいたのは、むしろ幸せにしてもらっているのは自分の方だということ
お待たせしてしまった時に「忙しそうですね。頑張ってください!」と声をかけてくれたり
台風の日には「お姉さんも気をつけて帰ってねー」と言ってもらえたり

朝から学校に行って、終わったらそのまま深夜までアルバイト。体力的にもきつい時はあったけれど、毎日笑顔で帰ることができたのは、お客さまがくれた力も大きい

そうやって一生懸命やっていても、みんながみんな、それを求めてお店に来ているとは限らなくて、失敗して落ち込んだこともたくさんあった

私は誰かの一日を幸せにできたのかな。

自分としっかり向き合った

バリスタ認定が終わり、少しずつできる仕事が増えてきた頃のこと。
オーダーをとって、取りまとめをして、受け渡しをして、慣れないレジ対応
当たり前に全てのレシピを覚えた上で、速さとクオリティが追求されるドリンク作成

しっかり気を張っているつもりでも、できないことってあるんだと初めて思い知らされた

私がミスをしたせいで迷惑をかけてしまって、他のパートナーに申し訳ないという気持ちが先行してしまっていたけれど、そうじゃなかった

レシピを覚えて、ポジションを覚えて、たくさん覚えることがあるけれど、全てはお客さんにスターバックスエクスペリエンスを届けるためにあるんだということを教えてくれた

日常生活で失敗することはあっても、それに対して深く考えることってそんなにない
注意され慣れていなくて最初は涙を浮かべることもあったけれど、決して責められているわけではなくて、どうしたらできるようになるのか、一緒に考えてくれた
次にやってくるお客さんにはまたいつも通り、とびきりの笑顔で対応たいから。落ち込んでいる暇はない、と前向きに考えられるようになった

スターバックスで得られた一番の成長は、失敗を認め、前向きに考えられる誠実さではないだろうか

大切な仲間ができた

2022年9月
お客さんの中には私よりずっとコーヒーに詳しい人もいて、そんな人とコーヒーの話に花を咲かせるのが夢だった

だから、ブラックエプロンの試験を受けることにした

ただコーヒーに詳しいだけの人じゃない。その歴史から豆の特徴まで、幅広い知識を表現し伝える、コーヒーのストーリーテラーだ

そう教えてくれたブラックエプロンのパートナーさんは、自身が試験を受けるときに使ったノートを見せてくれたり、どういう勉強方法がいいか教えてくれたりと、私の本気に向き合ってくれた

勤務の前後や休みの日、時間を見つけてはコーヒーの勉強をした
机に向かって黙々と勉強していると、パートナーのみんなが休憩に入るたびに応援に来てくれて
一緒に試験を受ける仲間とコーヒーにまつわる知識を交換したり、テイスティングをして感想を言い合ったり
一人で頑張っているんじゃないと思えたことが、何よりの原動力になっていることに気づいた

努力を見せるのはかっこ悪いと思っていたから、応援されることがこんなに嬉しくて幸せなことだなんて知らなかった


何を叶えたくてここにいる

しばらくすると、次の目標設定をする時間が与えられた

これからどういうところを意識して働きたいとか、どういう面を成長させたいかとか、そういたことを答えていくのだけれど、その最後の質問に、”スターバックスを通してどんな自分になりたいか”という質問があった(意訳)
私は「全てのお客さまの一日を幸せにできる人になりたい」と答えた

スターバックスの中でどうなりたいかじゃなくて、スターバックスを辞めてからも続くような、自分の将来叶えたいようなことを書いてもいいんだよとフィードバックをもらった

自分の人生のテーマについて考えるようになったのは、その日からだった

一歩踏み出してみることにした

2022年10月

大好きなスターバックスコーヒーのみなさんへ

突然ですが、10月31日をもって退職することになりました。

スターバックスで働くうちに得られたたくさんの学びの中で、全員がキラキラして働いていることが、この場所を素敵にしている一番の理由だということに気づきました。

この場所のように、誰もがイキイキと働く社会をつくれたら、どんなに素晴らしいことでしょう。
そう思ってから、ビジネスの勉強、チームビルディングの勉強をはじめました。これからはその勉強に、より集中して取り組みたいと考えています。
4月からは大学を休学し、新潟市のスタートアップ企業でお仕事をしながら、さらに実践的な知識と経験を積むことにしました。
いつかいいご報告ができるときを楽しみにしていてください。

実働半年という短い間でしたが、大変お世話になりました。
間違いなく、今までの人生で一番楽しい日々でした。夢を与えてくれたみなさんには感謝の気持ちでいっぱいです。

ありがとうございました。

2022.10.21 せなより

我ながら傲慢だなとは思う
何ができるかなんてわからないけれど、スターバックスでもらった経験を糧に、ちょっとだけ踏み出してみようと思う

第三の場所

スターバックスは私にとって家のような場所だった
ここにいると毎日が楽しくて、成長を感じられて、素敵な仲間と素敵なお客さまがいて。ずっとこうして働いていたいと思っていた
本当に、離れたくないなあ。

「いつも頑張ってるの知ってるから、せなならできるよ」
「ここはあなたのお家だから、いつでも帰っておいで」

職場でもなく、自宅でもない。ここは私の第三の場所

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