日記 初夏
風が初夏の匂いを運ぶ。雑木林の切り株に腰かける。
木漏れ日を見上げる。
葉が揺れ、梢が擦れる。
枯れた葉がはらはらと落ちる。
四顧し、傾聴し、睇視し、黙想す。
そう言えば『となりのトトロ』のモデルは狭山丘陵だったかな、と思う。雑木林。
色々なことを思わないようにする。
禁止は逆に、禁止された物事への執着を生む。
流石に暑すぎるのでコンビニで吸って飲むタイプのアイスを買った。もう夏みたいだった。手でアイスをもみほぐして、それで飲んだ。冷たくて美味しかった。手はひんやりと冷えた。
そう言えば部活の帰りによく飲んでいたな、などと思い出す。駅のホームの自販機で買っていた。当時の真夏日のひりひりした日差し。アイスは今よりもっと早く溶けていた。炎天下のグラウンドであんなに走って、何処へ行くつもりだったんだろう。
コンビニを出ると、三輪車に乗った子供がとても嬉しそうな顔をしているのを見た。父親はやや疲れた顔をしていた。
子どもと遊ぶこと。父親たる彼は、もう彼だけの人生を歩むことはないんだろう。彼には家庭がある。それは母親も同じだ。では子供は?
書店でチャペックの『ロボット』を買った。アンドロイドが云々と言っておきながら、実はまだ読んだことがなかった。
最近、また宮沢賢治の詩に触れたいと思うようになってきた。彼の「食う/食われる」について、もう少し深く考えてみようか。
丁寧で清潔なサプライチェーンによって僕の手に届く、このアイスクリーム。肉、魚、野菜、穀物。
何処に責任があるかわからない、責任の所在が明確でないこと。分業制。