語り※思い綴り2
願いは叶わず
結局は無い物ねだり。私自身が望んだこととはいえ、この現実からその望みが叶うことはない。
彼には既に決まった人がいて、私はそれをただ眺めているだけ。何もしない。ただ、ただ、眺めているだけ。
そうすれば自分だけが傷ついて終わる。誰も悲しみもしなければ、心配にもならない。私だけがこの気持ちを押し殺しておけば、全部解決するからだ。
でも、それでもやっぱり整理したはずの気持ちは揺さぶられてぶり返す。いつになったらこの気持ちを捨てられるだろう。
時計の音がする。無機質で規則正しく。
帰宅してお風呂に入ってから下着だけの格好で、私はベッドに仰向けになる。暗い部屋で、意味もなく付けたパソコンの起動音とモニターの光が頭上を照らす。今日も好きな人と話をして、見切りを付けようとしてできなくて、彼女に嫉妬してしまった。全く嫌になる。こうも長く誰かを好きでいるなんて、いい加減自分の気持ちに見切りをつけて他の誰かを好きになればいいのに…。
「…声…聞きたいな」
いつも、そうだ。こうして自己嫌悪に陥っているときに彼の声を聞きたくなる。けれど私は、天邪鬼で不器用だ。誰かに甘えるすべなんて知らない。
「…嫌いだ…私なんか」
気持ちだけがそこにある。伝わることが無い虚しい気持ちばかりがそこにある。
私にとって、言ってはいけないその言葉は、この部屋の中で溢れたとしても、より強く自覚してしまうだけで終わるだけだ…。
「好きになんて、ならなければよかった…」
やめればいいのに口にする。やめればいいのに考える。早く眠りにつこう。きっと明日は、今の気持ちすら忘れて笑っていられるから…。
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思いつきシナリオその2です。
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