ジャニーズ性加害問題の本質はどこにあるのか

お久しぶりに「赤裸々シリーズ」である。
能登半島での大震災で、亡くなった方や被災された方に心を痛めている毎日が続く。避難所での女性や子どもを狙った性犯罪、外国人や障がいがある方の避難生活も心配だ。

今回のテーマは「旧ジャニーズ事務所の性犯罪問題」だ。
ここでカミングアウトしよう。
わたしは「すの担」であることを。

わたしはSnowManが大好きである。アイドルに興味がなかったわたしにとって、2022年の紅白歌合戦ではじめてちゃんとSnowManパフォーマンスを見たときは衝撃だった。パフォーマンスのクオリティの高さ、見ている人を楽しませたいという気持ち、総じてアイドルとしてのプロ意識。わたしはどっぷりと沼にハマってしまった。

それ以降、つらいときも苦しいときも、SnowManの全力でがんばる姿に勇気づけられ、支えられ、今日まで来れたと言っても過言ではない。それほどまでに2023年はわたしにとって挑戦と変化の年だったのだ。

同年、旧ジャニーズ事務所の性加害問題が明るみに出た。所属タレントはCMや仕事が少なくなった。年末の紅白歌合戦には、旧ジャニーズ事務所のタレントは出られなくなった。

そんななか、SnowManがYouTubeで大晦日ライブ配信をしてくれた。
最高のパフォーマンスだった。
短期間であれほどまでのステージを用意するのに、スタッフ含め、どれだけの労働があっただろうか。
ステージの上でキラキラと輝く9人。いつも通り、笑いあり、ドキドキワクワクありの、盛りだくさんの内容だった。そして後半には、メンバー一人ひとりがそれぞれの想いを語ってくれた。

そのなかで、しょっぴーが、
「所属タレントがこういうこと言っていいかわからないけど、やっぱり悔しいんだよね。悔しいって気持ちがどこかにある」
と言った。

わたしは、モヤっとした。
心にチクっと針が刺さったような違和感だった。

この言葉は旧ジャニーズ事務所の性加害問題についてのコメントだと言うことは言うまでもない。しかし、なにに対しての「悔しい」なのだろうか。

ジャニーズが被害者救済に積極的に向き合わないこと?
被害者に対し、真摯な謝罪すらしないこと?
事務所の名前を変えただけで、本質的には内部状況は変わっていないこと?
それらに対して、自分がその事務所に居続けることに申し訳ない、のような悔しさなのだとしたら理解できる。
しかし、しょっぴーの言葉のニュアンスには、「なぜ自分たちは直接関係ないのに仕事を失い、紅白も出られないのか、意味がわからず、悔しい」というニュアンスをわたしは受け取った。

そのあとに、めめが、
「僕たちを必要としない人がいるのは当たり前のこと。曇ってる目じゃなくて、僕たちを本当に見たいと思ってくれるみなさんのために(中略)がんばりたい」と言った。

彼らはもしかしたら、性加害問題の本質をよくわかってないのではないか。
所属タレントとしての責任を感じてないのだろうか。
「曇っている目」なのは、誰のことなのだろうか。
問題を指摘し、事務所やタレントを批判するファンなのか、問題を報道するメディアなのか。
少なくても、問題が起きてもタレントを応援し続けるファンは「曇っている目」の持ち主ではないだろう。
彼らの結論は、後者の「本当に見たいと思ってくれる」ファンを大切にしたいということなのだろうか。

SnowManはデビューを誰よりも願い、長年努力して来たグループだ。そして、「9人のグループであること」に重きを置く、チーム力重視のグループだ。
今更引き下がれなかったのかもしれない。し、生配信の緊張や短時間での言葉の紡ぎ方は難しかったのかもしれない。
SnowManは性加害者だったかもしれないし、性被害者だったかもしれない。
少なくても黙ってたのならば、性犯罪に加担してたことになると、わたしは思う。組織ぐるみで隠蔽していた性犯罪を、「知らなかった」という言い訳では誤魔化せない。 SnowMan含め所属タレントはジャニーさんがやっていた犯罪を黙認していたのである。
そのせいで性被害者を増やし続けてきた事実があり、今日まで来てしまったのだ。

しかし、性犯罪を知りつつも黙っていたのに、「悔しい」や「曇ってる目」という発言は、SnowManが大好きなわたしにとって、とてもつらいものだった。あくまで彼らのスタンスは仕事を失った「被害者」に留まっている。

今回、めめとしょっぴーの発言が目立ったが、きっとメンバーもこのように感じているのかもしれない。

彼らは、今自分たちにできることは、ファンのために一生懸命仕事をするだけ、と思っているのかもしれない。でも、それは違う。
彼らの事務所は日本一のエンターテイメントを作り出す組織であり、所属タレントの発言は多大な影響力を生み出す。

本当にファンを大切に思っているのなら、次の世代の後輩アイドルを守りたいのなら、組織の問題を内側から指摘し、黙認してたことを認めて、誠意をもって謝罪する(させる)べきだと思う。
問題解決のためには、事務所はもちろん、外部の専門家のよる所属タレントへの人権教育と性加害問題の本質の洗い出しが今、本当に必要だと思う。

もうひとつ問題だと思うのは、ジャニーズの一部のファンの主張である。彼らはSNSではとても攻撃的で、事務所の問題とタレントを切り離すことで、推しの仕事を取り上げないようにしてほしい人が多いように感じる。わたしのように批判するファンを見ると、ではファンを辞めるべきだと主張し、この性犯罪問題に向き合う姿勢を見せない。
しかしそれは、ファンとしてあるべき姿なのだろうか。ファンならば、タレントのためにも、再発防止のためにも、事務所の誠実な対応を求め、声を上げ続けなければならない、と思う。
タレントがエンターテイメントを提供するサービス業であるならば、彼らは良くも悪くも消費者であるファンの声を受け取っている。
わたしたちファンは、自分たちが推しをたくさん見たい気持ちを抑えてでも、問題解決のために声を上げる必要があるのではないか。だって、問題を放置してつらい想いをするのはわたしたちではなく、わたしたちの推しなのだから。

K-pop好きの友人は、ファンはタレントの給料アップや休みを与えることなどを、積極的に事務所に主張するそうだ。
ファンとして、タレントの幸せを願うのは当たり前のことだ。しかし問題のある事務所で、彼らの精神的安全が保障されているとは思えない。
わたしたちファンも、性加害問題にちゃんと向き合い、主張していかなければならないと、自戒を込めてここに記しておきたい。



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