カバー曲の楽しみ
配信ライブって良いですよね。移動のコスト(時間・費用)がかからなくて。
先日の配信ライブも、開始10分前にお風呂から上がってとりあえず髪をガーって乾かして、頭ボサボサのまんま冷蔵庫からビール出して見始めたりして。ヘヘ、らくちん。
というわけで、こちらを見ていました。
難破船のカバー
今回、カバーで歌ってくれました。
難破船は、さらっと歌うと平坦になるし、かといって溜めすぎると情の方が強く出てしまったり、明菜ちゃんの物まね風になってしまう歌ですごく難しいなと思います。
でも、それだけにその人の歌い方で歌えると、その人らしさがでてとても良い歌なんですよね。
というわけで、先に従来の難破船のイメージ。明菜ちゃん、加藤登紀子さん、あと朋ちゃんのカバーについてです。
私の勝手な印象なので、コアな中森明菜ファンの方はブラウザバック推奨、吉田一休ファンは一休さん部分までジャンプ推奨です。(長いからね)
中森明菜の難破船
明菜ちゃんの歌う難破船は、サラサラと崩れ落ちてしまいそうな儚く海の底で朽ちていくようなそんなイメージ。
「つむじ風に身を任せて あなたを海に沈めたい」と歌いつつも海の底からは「あなた」にはもちろんのことつむじ風にすら手が届くはずもなく、どうにもならない孤独さに身を切られるような辛さが。
壮大な、ともすれば時折ヒステリックに聞こえなくなくもない演奏をバックに淡々と歌う明菜ちゃんの凄みが美しく固唾を飲んで見入ってしまいます。
加藤登紀子の難破船
加藤登紀子さんはシンプルなギターの引き語りで歌っているのがめちゃくちゃかっこよくて、嵐のあとの晴れた凪の海をゆらゆらと漂う難破船というイメージ。
若い子に「たかが恋なんて」と諭しつつ自身の恋を思い出しているような。
この歌って、加藤登紀子さんの20歳の頃の恋がベースなんですね。自由恋愛主義の彼氏に合わせて「私自身も自由恋愛をやり遂げようと踏ん張って」いた恋。その時点で私なんかは「そりゃ辛いわ」と思っちゃうんですが。好きになっちゃうとどうにもならないのもわかる。
加藤登紀子さんの歌からは、このかっこよさをすごく感じます。「つむじ風に身を任せて あなたを海に沈みたい」って、加藤登紀子さん自身がつむじ風になってそうですもんね。足でグリグリと海に沈めそう。
でも、多分加藤登紀子さんはそのかっこよさよりも、その時の身を切られるような辛さを歌ってほしくて明菜ちゃんに歌を託したのかな。って気がします。
つよい……。
華原朋美の難破船
朋ちゃんの歌声って、どこかに楽観的な響きがあって私はとても好きです。難破船もストレートに「好き」って歌っているように私には聞こえます。海の底に沈めたいと歌いつつ、目の前に「あなた」がいたら抱き着いちゃいそう。
難破船の歌詞って、何一つ希望がないんですけどね。
難破船は、「たかが恋/恋人をなくしただけ」と言いつつもどうにもできない辛さが描かれているのですが、朋ちゃんが歌うと、でもやっぱり辛くてもそれは「たかが恋/恋人をなくしただけ」でまた次の恋も恋人もできそうなそんな印象。孤独なまま終わる歌詞の中でそう感じさせる朋ちゃんってすごいなと思います。朋ちゃんの可愛らしさってそういうところよね。
フルの動画は公式ではなかったのでこちらを貼っておきます。
一休さんの難破船
以上のことを踏まえて、今回の一休さんの難破船のカバーなんですが、……すっごく良い!
聞いてて固まっちゃった。
これは生で聞きいたらもっとすごそう。
繊細なギターと一休さんの男らしい声との合わせ技というか、明菜ちゃんは壮大な演奏に繊細な歌声なんですが、一休さんは繊細な演奏に壮大な歌声。
力強くも聞こえる歌声は、それでも踏み込んでしまえばガラガラと音を立てて崩れてしまいまいそうな危うさがあって、今まさに嵐の中にいるようなそんな感じで、ああ、なんだろう、こんな言い方しかできない自分の語彙力を呪いたいのですが
大 好 物 で す
すいません、この感じすごく好きです。弱みに付け込んで口説きてぇ!
と言いたいところですが、付け入る隙がないくらい張り詰めてて、ああ、好き、すごく良い(語彙力放棄)。
そして、この「つむじ風」がどこから出てきたのか長らく疑問だったのですが、これは嵐の中での歌ならすごくしっくりくるというか、ああ、なるほどって思いました。私はずっと、明菜ちゃんの「海の底」感に引っ張られて「つむじ風」を唐突に感じていたのですね。
抱きしめて海に沈めてくれそうな激しさがある一休さんの歌声に、やっぱりこんな言い方にしかできなくてほんとごめんなさいって思うのですが
沈 め て く れ ぇ ぇ ぇ !!
私でよければいつでも沈みます!ずぶずぶっと海に沈めてくれて全然OKです!結構良い沈み方すると思いますよ?っていうかもう、沈んでますけどね!あ、それは沼か!一休沼に沈んでるのか!海でも沼でももっとしずめてくださぁあい!ゴボゴボゴボ(溺
って感じです。
そこでもう一度加藤登紀子さんの百歌百話からなんですが
とあるように、この歌って熱烈なラブソングなんですね。
一休さんの歌声からは「嵐の様な恋」を感じ、ギターからは儚さを感じ、合わせてとっても切なく感じました。
どうやってこのギターアレンジになったんだろう、元の曲どうだったっけ?他のカバーってどんな演奏だったっけ?って配信終わった後に中森明菜→加藤登紀子→華原朋美→吉田一休と何週も周ったんですが、その都度それぞれに聞き入ってしまって結局わかりませんでした。エヘッ。
だってみんなそれぞれ素敵なんだもん。
難破船って、ほんと良い歌なんですね。
というのと、一休さんのファンになれて本当良かった。
「うたたび」ってタイトルのライブなんですが、一休さんの歌を足がかりに私も歌の世界を旅することができそうで、とても楽しみです。
これからも沢山の歌を聞かせてください。
で、ついでにもう一曲。ちょっとこれ、みんなどうなの?っていつも思う歌について。みんな大好き「ルック商店街」について。
来年またなにかやれたらいいな