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答えのない問題を考えてみる

震災は怪物

震災は怪物。私達は立ち向かうことも出来ない。突然きて、全部壊して、たくさんの命を奪って・・・誰を憎んでいいのか分からない。

これは劇中でカンちゃんがつぶやいたセリフ。

2021年公開された「護られなった者たちへ」

この映画は東日本大震災から10年後に起こった殺人事件という設定だが、10年という歳月があっという間だったと感じる我々に、再度、命の大切さとはかなさ、人と人との「血縁」を越える繋がりの大切さを提示をしてくれる作品だった。

余談だが、キャストの目力がすごい。佐藤健、阿部寛に始まり、林遺都、清原果那、永山瑛人・・・出る人出る人目がギラギラしていて画面がうるさいくらいだ。東北にはあんな目でかい洋風な顔の人あんまりいないと思いながら見ていた(偏見)

今東京に大震災が起こったら

今の生活の中で、突然大きな震災に見舞われると仮定してみた。

日々カツカツな中で暮らしている人間への震災のダメージは、マイナスをゼロに戻すだけの行為に想像を絶するエネルギーが要求されるだろう。

まだローンがある家の修繕なんて考えただけで気が遠くなるし、子供達が安心して勉強したり部活したりできる環境に戻るまでに相当な時間がかかる。今は助け合いをしているご近所さんとも、そのうち心が荒れていがみあったりすることも出てくるのだろうか。

そんな考えに支配された時、人生とは案外天災によって決まるものなのかも、とも思った。

最後のセイフティネットである「生活保護」

この映画では「生活保護」と「餓死」が大きなキーワードになる。

実はこの飽食の都市東京でも、生活保護を受け暮らしている中、通帳やキャッシュカードをいつもの場所に入れ忘れたなど、ほんの些細なトラブルでお金が回せなくなり、携帯が止まり、ガスが止まり、餓死寸前になってしまうお年寄りが存在する。

ホリエモンやひろゆきが事あるごとに「いざとなったら生活保護があるじゃん」的な発言をするけれど、生活保護も・・・受けたらそれで安泰ではなく、受け取るお金は変わらない中、本人は確実に歳を取って老いていき、分別がつかなくなる変化を迎えるわけで。。。だったら誰がどうしたいいのか答えはないけれど、現実はそう簡単でも甘いものでもない。

生活保護を一旦受給してしまうと、それを超える仕事をした場合に返金義務があるという点も問題で、「今働けない人」は「死ぬまで働けない人」ではない場合もあるし、先ほどの例のように「今元気な人」は「永遠に元気な人」でもない。また不正受給の温床になるのは「稼ぎがあると、保護費を返さないとならないから働くだけ損」と思われてしまうからだ。社会復帰をしたい人にも、そっと後押しするような制度であってほしい。これはベーシックインカム制度に譲るしかないのか。

震災にも、生活保護にも、俳優たちの目力の強さにも・・・思考を巡らせてみたものの、結論は出なかった。

けれど映画鑑賞や読書の醍醐味は、こういった答えの出せない問題から目を逸らさずに、自分なりの立場を考えておくことではないかと結論を出してみた。

桑田さんの主題歌「月光の聖者達」も映画ととても合っていてよかった。


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