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【前編/地域リーダーへのインタビュー①】身寄りなし問題研究会:須貝秀昭さん 〜自分の『したい』が『誰かのために』〜

■編集・執筆:伊藤 颯太【4年(掲載時)】        
■インタビュー:伊藤 颯太、佐藤 惇矢【2年(掲載時)】
(2名とも新潟大学経済科学部地域リーダープログラム所属)

皆さんは身寄りなし問題というものを耳にしたことがあるでしょうか。

私自身、今回ご紹介する須貝さんにお会いするまで、聞いたこともありませんでした。この問題は読んで字の如く、身寄りがいないことによって生じる問題のことです。一見、私たちには関係のないことのように聞こえますが、実際はそんなことないのです、、、

身寄りなし問題とは具体的に何なのか。どう私たちに関係してくるのか。解決策はあるのか。また、地域リーダーの定義とはなんなのか。
今回は以上の点について、身寄りなし問題研究会 代表/和服男子/Barの店主、その他複数の肩書を持つ須貝秀昭さんにお話を聞いてきました!

では、本編へ行きましょ〜!

【前編】


1.活動の概要と解決したい問題【身寄りなし問題って何??】

――はじめに活動の概要についてお聞きしていいですか?

須貝さん:
はい。よろしくお願いします!
私たちは「おひとり様を許せる社会に」を目標に、身寄りがいないことによって生じる問題をはじめとして、それに付随する多くの事柄についてアプローチを行っています。

――勉強不足ですいません、、、そもそも「身寄りなし」ってどういう状況を指すのですか?

須貝さん:
そうですよね。なかなか普段の生活で耳にすることじゃないですもんね。実は身寄りなしって様々な定義があるんですけど、私たちは親族やパートナーと何らかの原因によって、絶縁、ないし会うことができなくなってしまった方々を「身寄りなし」と定義しました。

――そうなんですね!!身寄りなし問題としては、具体的にはどんなものがあるんですか??

須貝さん:
身寄りなし問題としてよく挙げられるのが、いわゆる身寄りなし問題の三大課題『医療決定』『金銭管理』そして『死後対応』です。
これらの問題は、身寄りがない方ご本人が入院ないし、死亡された際に生じることが多いです。身寄りがいないということは、本人は意識をなくし、医療判断ができなくなった際に代理で意思決定を行う存在がおらず、万が一その方が死亡された際の対応についても責任を持って行う方がいないことを意味します。そのため、身寄りのない方は病院側にとっても「厄介な存在」として受け入れが断られることもあるそうです。

『金銭管理』に関しても同様に、本人がご自身で意思決定が不可能になった際に、医療費の支払いやその方の財産の相続についてなど、ご本人に変わって金銭管理を行う存在がいなくなってしまいます。
その場合、ご本人のお金だとしても暗証番号などがわからなければ銀行からお金を引き出すことができません。こういった点においても、身寄りのない方は医療を受けられない可能性があり、つまり生きるか死ぬかの問題に直面しているのです。

――かなり深刻な問題ですね、、、こういった問題に対して、身寄りなし問題研究会ではどういった取り組みを行なっているのですか?

須貝さん:
そうですね。大きく2つの活動を行っています。
1点目が実際に利用者のサポートを行う支援。2点目が身寄りなし問題への認識を広げる活動。

前者に関しては、相談会や居住支援が挙げられます。相談会については、実際に問題に直面している方々とお話をして、利用できる公的サポートについての情報共有であったり、その他不安に感じていることについて何でもお話しできる時間としています。居住支援に関しては、身寄りがないことで住居契約ができない方々に対し、私たちが所有している住居を貸し出すといった活動を行っています。

後者の身寄りなし問題の認知度をあげる活動については、講師派遣や各種メディアへの掲載などが挙げられます。実際に自分がその状態に陥った際にどのように行動すれば良いかや、誰にでもいつでも起こりうる問題であることを知っていただけたらと考えて活動しています。

――身寄りなし問題について、また活動内容についてもよく理解できました。ありがとうございました!

2.その解決策とは【互助社会と教育】

――身寄りなし問題についてお聞きしてきましたが、具体的にはどういった解決策が考えられるのでしょうか。

須貝さん:
そうですね。私たちは『互助社会』の構築が一番の解決策になると考えています。
私たちのように、NPO団体や各民間企業で身寄りのない方をサポートしているのが現状ですが、問題を抱えている方々に対し、十分な数の事業所が存在しているとは言えません。サポートを行う団体を増やすことも解決策の一つではありますが、それにも限界があると考えています。そのため、地域でお互いに支え合う『互助社会』の文化を作ることができたらと考えています。

―― なるほど。『互助社会』ですか。では、『互助社会』の構築のために須貝様が取り組まれていることなどございますか?

須貝さん:
はい。先ほどお話ししたことと一部重複してしまいますが、身寄りなし問題の認知度向上と実際に互助社会を作る取り組みを行なっています。
前者に関しては、各種イベントへの講師派遣やメディアへの露出を増やすなどの取り組みが挙げられます。その中でも『教育』に重きを置いています。そのために、“支え合い戦士”というキャラを作成してイベントに参加することで、子ども世代から身寄りなし問題への教育をすすめ、それがその後の世の中や親世代へと繋がることで、地域での助け合いの文化への第一歩となればと考えています。

互助社会を作る取り組みに関しては、地域のお年寄りを集めて集団で暮らす取り組みや、男性たちを集めたトレーニング会を行って交流の機会を作ることなどを行っています。また、家電バンクという取り組みを行い、地域で不要になった家電を集め、必要としている人へと分配する取り組みを行なっています。これも、広い意味での助け合い『互助社会』の取り組みと言えるでしょう。

(記事は後編へ続きます!)
【後編】
3.大切にしていること【行動の原動力】
4.私の考える地域リーダーとは
  【自分の「したい」ことと「誰かのために」の共通部分】
5.インタビューから得た経験と今後について


須貝 秀昭  様(身寄りなし問題研究会HPより引用)


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