毎日読書#183 『アルテミス』(アンディー・ウィアー)
スタートレックシリーズが100年前のコンテンツになっている程度の近未来、人類は月面に人口2000人を収める観光都市「アルテミス」を作っていた。
という設定で、密輸を生業とする女の子(でもないけど)ジャズが活躍するドタバタコメディーアクションミステリー。
『火星の人』があまりにも面白かったので、期待値が高すぎたのかもしれない。ちょっと期待外れだったかなぁ。
ご都合主義な展開が多いし、そもそも主人公がなぜその仕事を引き受けるのか、いまいち説得力が無い。まったく共感出来ないし、腑に落ちない。他の登場人物達も役割を演じるだけで血の通った感じが無い。
楽しい作品であることは間違いないのだけど。B級ドタバタSF映画をみているような感じなのよね。冒頭、穴の開いた宇宙服でエアロックめがけて月面を走るシーンから物語が始まるあたり、実にハリウッド的で嫌いじゃ無いのだけど、上下巻あわせて560ページにわたってそういった演出が何度も繰り返されるので、1日で一気読みしている私としてはげっぷが止まらない。銀座ライオンでずっと1リットルジョッキをおかわりし続けているような気分になってくる。ビールでおなか一杯。もっと焼酎お湯割りとか飲みたい。
ただね、さっすがアンディー・ウィアーだね、というのは、すべての事象に説明を付けていること。アルテミスという都市に2000人を詰め込む為の設定を徹底的に考え抜いている。読んだ後は、月面あるあるに詳しくなれるので、月旅行に行った時に役立てようと思う。
「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。