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タランティーノがレオンを撮ったような話『拳銃使いの娘』(ジョーダン・ハーバー)【読書ログ#160】

『拳銃使いの娘』(ジョーダン・ハーバー)

今年最後の読書は父と娘が数々のピンチを切り抜ける犯罪アクション。

年末の大みそかに読むような話ではないのだけど、ちょっとのつもりで読み始めたら、続きが気になって気になって、一気に読んでしまった。

私の読書スタイルは、超並行読み。一度に3冊~10冊程度の本を並行して読んでいて、あれこれと隙間時間に適当に本をつまんでページをたぐりながら読み進め、子どもを寝かしつけたあとに、今日はこれを読み切ろう! と1冊に決めて、その本を一気に最後まで読む。というスタイル。なので、この本もそういった並行読書の列に加わる予定だったのだけど、本作は読み始めたところから止まらなくなってしまった。

とにかくテンポが良い。まるで「24」のような犯罪ドラマを見ているようなテンポで話が進む。主要な登場人物達の視点がテンポよく切り替わり、話の展開も早い。会話と簡潔な説明で話がグイグイ進むし、各登場人物の話の終わりが先に気を持たせるような内容なので、読み止める箇所が無い。

この展開の速さは、著者が元々アメリカで「メンタリスト」などのドラマで制作や脚本をてがけているという話で腹落ちする。海外ドラマばりに先が気になる話の作りかたで、うまいんだよね。先が気になって仕方がない。

そういえば、以前紹介した『卵をめぐる祖父の冒険』も、著者がテレビドラマ出身だった。あれもテンポがよくて、先に気を持たせる構成だったな。

主人公は11歳の女の子ポリー。あまり学校になじめず、唯一の友達は熊の人形だ。母親と義父の三人で住んでいる。実の父親は刑務所にいるのだが、ある日、学校から出ると、その父親がポリーを待ち構えていた。

ポリーが父親に鍛えられながら、心身の強さを身に着けていく過程は、映画「レオン」のマチルダの姿にもだぶる。まるでタランティーノがレオンを撮るとこんな感じだろうなと思いながら読んでいた。

それもあながちずれて居なかったのだなと思ったのは、巻末解説に記載されていた、インスピレーション元を眺めてみてから。そこには、『子連れ狼』『ペーパームーン』『レオン』といった作品、ジェイムズ・エルロイ、コーマック・マッカーシー、クエンティン・タランティーノといった名前があがり、大いに納得。

犯罪ミステリーなのだけど、ポリーの成長物語でもある。おすすめ!

「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。