陳建一の麻婆豆腐を作るのが夢だった
陳建一さんが亡くなった。まだ若い印象だったので訃報を聞いたときは驚いた。私の世代(昭和50年生まれ)だと90年代に放送されていたテレビ番組「料理の鉄人」で知ったという人が多いと思う。
穏やかで人なつっこい人柄が愛された。惜しみなくメディア等でレシピやノウハウを披露した。自らオーナーシェフを務める四川飯店グループは、今も広く展開されている。四川料理を日本に広めた偉人だ。
私自身もなじみが深く、都心に出勤して仕事をしていたときは、赤坂にある陳建一さんの赤坂四川飯店で陳麻婆豆腐をよく頂いた。
その麻婆豆腐は、地獄のような赤い油が表面にビッチリと浮いていて、見るからに辛そうなんだけど、実際に食べてみると本当に辛かった。でも、強烈に美味かった。
食べ終わると、疲労感でもうしばらく食べなくても良いかもと思うのだけど、翌週には食べに行ってしまう。そんな中毒性のある麻婆豆腐が、赤坂四川飯店の陳麻婆豆腐だった。
あまりに好きすぎて、陳麻婆豆腐の味を求め、麻婆豆腐を自宅で作るようになったのだけど、これが難しかった。
私は、外で食べて気に入った料理を自宅で再現させるのが好きで、いままでも色々と試しては、割と満足のゆく結果を得てきたのだけど、この陳麻婆豆腐だけはなかなか上手くいかなかった。
材料も、調味料も、調理方法も、全部間違っているとしか思えない料理が出来上がってしまう。
味に深みが無くて、辛くて痺れるだけの料理になってしまう。
どのレシピを試しても、全然納得のいくものが出来上がってこないので、すっかり諦めていたのだけど、ある日、何の気なしにYouTubeでレシピを探していたら、陳さん本人が麻婆豆腐の作り方を紹介する動画を見つけた。
↓公益社団法人日本中国料理協会から出ている「現代の名工の技」動画。
この動画、本当に素晴らしくて、調理のコツなどを参考にすることで、それなりに美味い麻婆豆腐が作れるようになった。
挽肉は油が透明になるまで炒める、豆腐は茹でておく、葉にんにくはそぎ切りにする(普通の長ネギで代用してるけど)、水溶き片栗粉は別けて入れる、など、様々なコツを素直に取り入れ、料理のレベルはグイッと上がった。
今まで100点満点中15点位だったのに、動画のおかげで40点位まで上がった。自宅でこれだけのレベルで作れたら大満足だろうというレベルには到達したと思う。
しかし、何かが少し物足りない。なんというか、味がペラッとしていて深みが無い。その理由ははっきりしていて、調味料が全然違う。
動画を見て貰うとわかるけど、それぞれの調味料が、おそらく四川飯店用の特別品で、私には到底揃えられない。
リストに乗っている甜麺醤も豆板醤も山椒もラー油も全部スーパーで買えるんだけど、スーパーで買えるヤツだと、全然味に深みが出ない。美味いんだけど何か違う。
しかし、そんな悩みを解決する素晴らしいアイテムが登場していた。ヤマムロから出ている陳麻婆豆腐の素だ。
↓ 1箱に3セット入っている。1セットで2~3人前は作れる。
これは素晴らしかった。味に深みが出る。本家の四川飯店とは違うんだけど、それでも、これまで以上の味が得られる。
陳麻婆豆腐と書いてあるが、多分陳建一さんとは関係なさそう。でも、自宅で陳麻婆豆腐を作るなら、この調味料を使うのがベストだ。
陳建一さんの動画、それにヤマムロの調味料セット、これがあれば、それなりに再現性が高くて、かなり美味い、70点には届く陳麻婆豆腐が自宅で作れるようになる。
麻婆豆腐好きな方、是非おためしを。
↓ 最近みつけたのが料理王国の動画。これもわかりやすい。
↓公益社団法人日本中国料理協会からは、家庭向けの動画も出ている。
これは家庭向けだけあって材料や調味料を簡易的にしているので、難易度は随分と低いのだけど、四川飯店の陳麻婆豆腐とは別モノ。
でも、これはこれで美味いし、このレシピを元に工夫をしたら、辛みが苦手な人でもイケる麻婆豆腐が出来ると思う。
ここまで一気に書いたら、哀悼の気持ちが沸いてきた。陳さんありがとうございました。今日は久しぶりに麻婆豆腐を作ろう。
「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。