「蜜蜂と遠雷」の「恩田陸」の隠れていない良作『木漏れ日に泳ぐ魚』【読書ログ#136】
デニーズでほうじ茶を飲みながら読了。
デニーズの帰り、車を運転しながら、読んだ小説の事を頭の中でまとめてみようとアレコレ考えようとしても、色々な(どうでもよい)事が数珠つなぎで思い出され、それどころじゃない道中だった。
本作を読んだ影響で、次々と過去の思い出が連鎖的にあふれ出てくる。
あらすじはこんなかんじ。
引っ越しも済んだアパートで、そこに住んでいた男女が最後の夜を過ごす。あの男を殺したのは、目の前にいる相手ではないか。お互いがお互いに対する疑念を抱いたまま、最後の夜を過ごす。
会話を重ねながら、明らかになる事実(≠真実)が、さらなる記憶を呼び覚まし、その記憶がまた疑問を生み出す。そして、意外な結末につながっていく。
どんどんと記憶が呼び覚まされ、二人の間の事実が積みあがっていく過程にドキドキする。が、何を書いてもネタバレになりそうなので、あまりかかないよ。
本作、アマゾンの評価が低いのが意外。面白いのに。面白いよ。
確かに恩田陸に期待する作風ではないけれど、良くできているというか、途中でやめられない魅力がある。
読みながら、何とも言えない不安がずっとチリチリと積もっていく。読むのを中断したら、せっかくためた不安が吹き飛んでしまいそうで、とにかく読み進めるしかないという気持ちにさせる。
コナン君みたいなわかりやすいミステリーを求めて読むと、確かに肩透かしなのだろう。本作は、男女が、家族が、一つの記憶をめぐり、お互いの心の本音に触れあっていく物語だ。心理サスペンスと言った方が違いのかな。
204ページで「ヒッ」ってなった。
「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。