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憂鬱と溜息の間を埋める『涼宮ハルヒの退屈』【読書ログ#121】

『涼宮ハルヒの退屈』(谷川流)

シリーズ3冊目。今回は短編が4本という構成。新学期からのドタバタを書いた長編の1巻目と、秋の学園祭を書いた長編の2巻目。その間を埋める、夏休みを中心とした時期の内容。

学園ドラマっぽい話(?)をうまく使い、物語の世界観の設定や、キャラクターの造形を深めている。

2巻目で唐突に登場してきたキャラクターにも説明がついたり、1巻と2巻で微妙に変化していた人間関係にも説明がついてる。また、主要な登場人物の役割などが固まる過程が説明されたりと、物語を知る上で重要なエピソードが織り込まれている。

無敵のチートキャラなのに、なぜか存在に不自然さを感じない、主人公と心を通わせはじめる無口な宇宙人。

主人公がトリックスターになってしまうと物語がつまらなくなると思うのだけど、それをさせない役割を担っているイケメンさわやか超能力者。

世界の構成を小出しにしながら世界観を立体的にしていくウブでドジッ子なグラマー未来人。

それぞれの存在理由と目的がしっかりと説明され、さらに読者に納得もさせる。

相変わらず文章は冗長。読み飛ばしたくなる衝動が抑えられないが、構成はうまいと思う。

今回は、ヒロインの影が薄いうえに、造形が荒い。だが、このことが残念ポイントにならないのは、この強烈なヒロインに頼らず物語を作っているからか。

以前の作品はこちら

「憂鬱」の読書ログを書いてから、色々な方に、4冊目の「消失」までは絶対に読めと強くすすめられるのです。そしてその「消失」を楽しむためにも、2冊めと3冊目は我慢して読めとも言われるのです。

ということでちゃんと読んだよ。面白かったです。次が楽しみ。

「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。