『ビブリア古書堂の事件手帖5 ~栞子さんと繋がりの時~』(三上延)【読書ログ#159】

古書と家族の物語。文章はわかりやすく、説明も丁寧、これなら小学生の上級生から読める。このシリーズに手を付けたのは友人のおススメがあったからなのだけど、確かに、読書人なら大人でも十分に楽しめる内容で面白い。

主人公は二人の男女。古書店の店主であり、古書に対する知識が尋常じゃない篠川栞子と、その古書店にアルバイトとして勤める本が体質的に読めない五浦大輔だ。

二人の元に持ちこまれた本の謎解きを中心に、栞子と大輔のめぞん一刻ばりに進展しない恋と、謎の多い篠川家の家族の物語が紡がれる。

若い子向けの作品なのだけど、取り上げられる古書についての調査の深さやチョイスされる蘊蓄が面白く、古書をめぐるエンタメ小説として良くできている。

本作は5巻目です。シリーズが全部で7巻あって、新シリーズも1冊出ているので計8冊。全部読んでしまったので、最後までやりますよ。

私のnoteを読んで読もうかなと思う方は少ないとは思うのですが、読んでみると読書好きには興味深い作品だし、実際書店ではずっと売れ続けているような作品なので、本が好きなすべての人にお勧めしておくよ。

『ビブリア古書堂の事件手帖5 ~栞子さんと繋がりの時~』(三上延)

今回取り上げられる本は目次の通り。

第一話 『彷書月刊』(弘隆社・彷徨舎)
第二話 手塚治虫『ブラック・ジャック』(秋田書店)
第三話 寺山修司『われに五月を』(作品社)

『彷書月刊』は1985年から2010年まで刊行されていた情報誌。古書と古書店にまつわる内容で、巻末には古書店目録が掲載されていたという。私は全く知らなかったが、今でも残っているのなら是非手に取ってみたかった。物語の中では、印付きの『彷書月刊』を古書店で売り歩いている不思議な女性がビブリア古書堂にも表れる事から展開する。

第二話で紹介されているのは誰もがおなじみ『ブラック・ジャック』だが、知っているようで知らなかった文庫本未掲載の話がキーになっている。私が子供の頃から、ブラックジャックには単行本には掲載されない幻の作品があると言われていたけど、その秘密が事細かに説明されるので、蘊蓄として面白い。

最後の寺山修司は代表作の『われに五月を』だが、これは読んだかとがなかった。寺山は読んだことが無い。理由は簡単で、食わず嫌い。これを機に、少しふれてみようかなと思う。

主人公二人の恋バナは最後にグイっとすすみます。

「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。