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突然の巨乳推しに戸惑う『ビブリア古書堂の事件手帖(2) ~栞子さんと謎めく日常~』(三上延)【読書ログ#154】

古書と家族の物語。文章はわかりやすく、説明も丁寧、これなら小学生の上級生から読める。このシリーズに手を付けたのは友人のおススメがあったからなのだけど、確かに、読書人なら大人でも十分に楽しめる内容で面白い。

↓その時の話&1巻の読書ログ

主人公は二人の男女。古書店の店主であり、古書に対する知識が尋常じゃない篠川栞子と、その古書店にアルバイトとして勤める本が体質的に読めない五浦大輔だ。

二人の元に持ちこまれた本の謎解きを中心に、栞子と大輔のめぞん一刻ばりに進展しない恋と、謎の多い篠川家の家族の物語が紡がれる。

若い子向けの作品なのだけど、取り上げられる古書についての調査の深さやチョイスされる蘊蓄がキャッチーで、古書をめぐるエンタメ小説として良くできている。

本作は2巻目だ。どうやら、本シリーズは7巻で完結しているようなので。こうなったら全部読むことに決めた。一気に読んで、一気にここに書くよ。

まぁ、どうせ最後は五浦と栞子がラブラブちゅっちゅなんだろう? 五代君と管理人さんみたいに、連星がクルクル回って軌道運動を続けて引っ張って、最後は重力に負け合体しX線を放射して新星誕生だろ? 見届けようじゃないの、最後まで付き合おうじゃないか。

さて、前作では岩波の漱石全集の1冊「それから」をきっかけに、栞子の見事な推理と洞察で大輔と家族の秘密が明らかにされた。

そして、盗難された本や、持ち込まれた本をめぐる問題を、さながらアムロの操るファネルのように五浦大輔を操り解決をする。

大輔は栞子に手足のように使われながら、彼女の持つ尋常ならざる古書への愛と造詣の深さ、そして誰もが目を見張る容姿と巨乳に魅かれる。

しかし、太宰の「晩年」をめぐり桜子を窮地に陥れる男性との対決で、自分は栞子に信頼されていないと感じ、書店を去る。という話だった。

今作はあっさり栞子の下に戻り、またしても小間使いにされながら展開される短編3本の構成だ。

『ビブリア古書堂の事件手帖(2)~栞子さんと謎めく日常~』(三上延)

第一話 アントニイ・バージェス『時計じかけのオレンジ』(ハヤカワNV文庫)
第二話 福田定一『名言随筆 サラリーマン』(六月社)
第三話 足塚不二雄『UTOPIA 最後の世界大戦」(鶴書房)

今回もマニアックだ。

一話目のアントニイ・バージェス『時計じかけのオレンジ』は、キューブリックの同名の映画の原作となった作品。どちらかというと映画のほうが存在感が強いので、小説の存在を知らない人も多いはず。

この小説は、本来の結末が書かれた版と、映画の原作となり結末が途中で尻切れになる版と、二つの翻訳が存在する。

そこそこ有名な話だし、Wikipediaとかで調べればすぐに出てくるが、うっかり最終章を省かれてアメリカで出版され、それが映画の原作になってしまったのだ。

ご存じの通り映画は大ヒットとなり、キューブリックの代表作なんて言われるほど有名になってしまった。

そんなこともあり、著者のバージェスも、最終章の抜けた本が出版され、流通するのを仕方なく眺めていたようだ。

作中では、とある小学生の書いた「時計じかけのオレンジ」の読書感想文(小学生は読んじゃいけません)の記述と翻訳の内容のズレから真相に迫る内容。

二話目の福田定一はよほどのファンでなければ知らない名前だが、実は超有名作家の別名で、正体を知ると「へー!」となるのでお楽しみに。

第三話もとある有名作家のもう一つの名前で世に送り出された漫画作品をめぐるものがたり。足塚不二雄と聞くと、もうわかってしまいそうだけど。

この三話目では、栞子の失踪した母親の存在が明らかにされ、栞子と大輔の関係に進展をみせつつ、栞子の他者を拒絶する原因も提示され、どうなることやら、で、終わる。

うん、今回も面白かった。各話とも実に丁寧に描かれていて、大人でも十分以上に楽しめる。

一つでも気になる話があるのなら買って読んで損は無いと思いますよ!

2巻に入り、突然巨乳推しになったので男の子はワクワクしているだろう。大人にとっては主役のキャラクター造形雑だな! 的な感想しかわかないし、中途半端なのでなんだかもったいない。

「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。