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【注目ニュース】インテル ASML次世代NA・EUV装置を世界で初めて組み立て

発表日時:2024年4月18日

概要

米半導体大手インテルは米国オレゴン州ヒルズボロにある研究開発施設にて、業界初となるオランダ半導体装置大手ASMLの次世代EUV(極端紫外線)露光装置「高NA・EUV」の組み立てが完了し、先進の半導体製造における重要なマイルストーンを達成したと発表しました。

納入された高NA・EUV露光装置「TWINSCAN EXE:5000」は、インテルの将来的なプロセス技術ロードマップ上にある製品製造に備えて、校正工程に入っています。この新しい露光装置は、回路原版をシリコンウェハーに転写する光学設計の変更により、次世代プロセッサーの解像度とフィーチャースケーリングを劇的に向上させることができます。

インテルフェロー 兼 Intel Foundry ロジック・テクノロジー開発部門 リソグラフィー・ハードウェア・ソリューション担当ディレクター、マーク・フィリップス(Mark Phillips)は「高NA・EUVが加わり、インテルはリソグラフィー技術において業界で最も充実した選択肢を手にし、2020年代後半にかけIntel 18Aの先にあるプロセス技術を見据えて前進することが可能になります」と述べています。

同装置の価格は3億5000万ユーロ(約563億3349万円)で、インテルは世界で初めてこれを購入しています。同装置を使えば小型で処理速度の速い次世代半導体を製造できる見通しですが、経済面とエンジニアリングの観点でリスクも懸念されています。

Intelの研究所に設置されたASMLの次世代NA・EUV装置(IntelのHPより引用)

解説

高NA・EUVリソグラフィーは、自然界では発生しない13.5nmの波長光を使うEUVリソグラフィーを大きく進化させた技術です。

強力なレーザーを照射することで、Sn液滴を22万℃に加熱した結果、この光が発生します。22万度は太陽の平均表面温度の40倍に近い温度です。この光は、設計した回路原版が描かれたマスクに反射し、極めて精度の高い反射鏡で構成された光学システムを通過します。

開口数(NA)は光を収集して絞ることができる能力の測定単位です。ウェハーへの回路パターン転写に使用する光学設計を変えることで、高NA・EUVテクノロジーは解像度とトランジスター微細化の面で大幅な前進を可能にすることが期待されています。

この次世代装置を用いて、2024年にIntel 20A(2 nm世代相当)2025年にIntel 18A(1.8 nm世代相当)の量産を始める計画で進んでいます。このペースなら2025年に2 nm世代の量産を立ち上げるTSMCとサムスン電子を追い越すことができると見られています。

これまでTSMCとサムスンに遅れを取ってきたIntelが逆転できるかどうかの分水嶺に差し掛かっているところですので、今後も技術的な発表に目が離せません。

参考文献

Intel Foundry 高NA EUVでチップ製造の新境地を開拓

次世代EUVの使いこなし急ぐインテル、2027年のTSMC追い越しなるか | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

インテル、ASML次世代半導体装置を組み立て 世界初 | ロイター (reuters.com)

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