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ギャグマンガ・4コママンガ千冊 46〜48冊目 『キッドアイラック!』 全3巻 感想


『キッドアイラック!』長田悠幸 スクウェア・エニックス

強姦されてPTSDになり、引きこもってしまった幼馴染・江崎のことを想い、不良の主人公・矢追金次郎は周りの人々に笑われながらも、大喜利で彼女を笑わせようと格闘する。

ギャグマンガ・4コママンガ千冊という企画なんだけども、このマンガは読んでみたら思いっきり青春マンガだった。でも読んでしまったので、そして、面白かったので数にいれちゃう。大喜利を扱っているということで、無理やり数にいれちゃう。

大喜利をテーマとしているんだけど、絵のアクションが迫力があって、バトル漫画を読んでいる気になる。実際、主人公が不良なので喧嘩シーンは出てくるし、そこでのバトルアクションはある。でも、大喜利シーンでもアクションがあるので、スイスイ読んでいけた。大喜利シーンなんて地味になったり、代わり映えしなかったりしそうなもんだけど、一切そう感じない。また、大喜利なんだから、説明セリフ過多になりそうだが、なっていない。なんつうか、ちゃんとマンガを読んでいるっていう感触があった。

同級生の明治は、なんかいけ好かないなと思っていたら、案の定やっぱりなといった展開になった。どうしても、こいつの心情には共感できない。よくわからない、その感情が。読んでいる途中で、アニメ版『スラムダンク』を思い出した。この不良の同級生たちは桜木軍団で、敵対グループのボスが鉄男なのかなと。アニメ版だと、鉄男が助けに来てくれる回あったよね。

第3巻の最後、大喜利大会に出ている主人公・やおきんの畳み掛けるような大喜利回答のラストスパートは感動ものだった。そもそもなんのために大喜利をしているのかという問に対しての答が、そこではっきりと示されていて、しかもそれが、大喜利のお題に対しての回答に対応しているのだ。大喜利の回答の中に、大喜利をする目的が込められている。そして、その回答は笑える。笑わせたい、笑ってほしいという想いが紡いだ回答になっているのが圧巻でした。

とにかくふざけたマンガを読んでいこうとしていたんだけど、不意にこんな感動的なマンガにぶつかってしまいました。でも、すごく良い出会いだったなと思います。きっと、I、luck!


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