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【SELFの本棚】#020 経営戦略としての異文化適応力- ホフステードの6次元モデル実践的活用法-

IQからEQ、そしてCQへ


ビジネスの世界ではかつてはリーダーのIQ(知能指数)が成功に最も大事だとされてました。ただ、それにプラスしてチームリーダーとしての成功にはチームを導くEQ (こころの知能指数)も大事という議論になります。ただ最近では、グローバルなビジネスを進めるとIQ/EQも飛び抜けたリーダーを異文化の海外のに派遣したのに失敗するケースが度々出てきます。そこで新しいファクター CQ(Cultural Intelligencce  = 文化の知能指数)が注目されるようになってきました。

そのCQをどう評価して、経営者自身や部下のCQ高めるためどうしたらいいのか、という要望に対し、経済学的な異文化の相互理解のためのフレームワーク ( ホフステードの6次元モデル)を活用し、ビジネス現場に生かすことでCQは向上できるよ、というのが本書の内容です。

そもそもCQとは何か?

現在、グローバルなプロジェクトの70%は失敗し、グローバルに活躍できる人材の重要性を90%の経営者が認めているそうです。学術的な世界でもビジネスの国際化の過程では「文化」「制度」「地理」「経済」が最も重要なファクターとされてきたそう。ただ、文化/Culture というファクターに対しては、経営学自体がアングロサクソン文化圏で作られた学問ということもあり、「あいつらは〇〇な奴らだから」で済ませて学問的な取り組みは遅れてきました。日本のビジネス現場でも「あいつらは〇〇な国民性だから(だめなんだ、 俺らみたく出来ないんだ)」で議論が終わりがちじゃないでしょうか。

それに対して、「文化はビジネスの成功と失敗に大きく影響する」。だったら「定量的に評価するフレームワークを提供」し、「相互理解を深める基盤」を作ることを当時IBMの人事リサーチャーだったホスフテード博士が提唱しました。

そしてCQ (Cultural Intelligence) とは「多様な文化的背景に効果的に対応できる能力」でそれは多様性の中を生きるために必要な能力と定義されます。異なる文化を持つ集団に接した時、「あいつらは〇〇だからダメだ」で切り捨てて思考停止になるのでははなく、フレームワークを活用して理解の基盤を自分の中で作り、違う文化の人と共に問題を解決し、目的を達成することができる能力がこれからのダイバーシティの中で必要になっていくのではないでしょうか。

ホフステードの6次元モデルに関して

詳細は本を買って読んでもらうとして、6次元モデルでは以下の点に関したフレームワークを構築しています。

1・権力との関係
2・個人と集団の関係
3・男性・女性に期待される役割の違いと動機づけ要因
4・知らないこと、曖昧なことへの対応
5・将来への考え方
6・人生の楽しみ方そしてそれぞれの課題

宮森千嘉子,宮林隆吉. 経営戦略としての異文化適応力 (Japanese Edition) (p.60). Kindle 版.

各国のスコアをプロットしているのですが、日本が例えば、個人主義なのか、集団主義なのかという点に関しては個人的に目から鱗でした。

全体の構成と国内での応用

第2章でフレームワークの中身を紹介しており、続く第3章ではそれを事例に落としてビジネスにどう展開するのか、第4章では各スコアと紐づくメンタルセットの紹介第5章ではCQの高め方といった内容です。

ちなみに、このフレームワーク、異文化だけでなくて、異なる組織文化や異なるグループの理解にも役に立ちます。違う組織体の人らと仕事をしていて、あまりに話しや慣習が異なると「あいつら頭おかしいんじゃないか、何も分かってねぇ」みたいにお互いに思っちゃいがちです。ただ、その人たちの思考をフレームワークに落とし込み、その上で上手く成果に繋げようというスタンスになる方がポジティブかと思います。国内でも直面するCそんなQの問題にも対応してくれる1冊だと思います。


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