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【SELFの本棚】#026 あたりまえのアダムス Obvious Adams ロバートアップデグラフ

(文:ふるかわ りさ)

今回ご紹介するのは『あたりまえのアダムス』という本です。
何年か前に、誰かにすすめられて、当時もすでに絶版になっていたので古本を買ったのを覚えています。

日本語での出版は2003年ですが、原書は1916年にアメリカで書かれたもの。

アダムスという、一見パッとしない、特段取り柄もなさそうな青年が「あたりまえのこと」を重ねて、広告会社に入社し、広告業界で伝説の人となるまでのたくさんのストーリーが描かれていますが、本自体は厚みでいうと1cm程度(A5サイズ)。早い人は30分もあれば読み終わってしまうくらいのボリュームです。

例えば、当時は列車の切符の価格は顧客にはブラックボックスになっていたらしく、「いつかは鉄道会社も料金体系に関する秘密主義を克服する日が来ると思います。そうすれば、今鉄道を利用していない人々が利用するようになって、年間数十万ドル単位の売り上げが上がるでしょう。近距離の鉄道料金が全然高くないとわかれば、人々はきっと利用します。時刻表に料金を載せればいいのです」といった、今読むと古く感じる例があったりしますが、本質の部分では全く色褪せていない(本質なので色褪せないのは「あたりまえ」なのですが)本です。

表紙のカバーは捨ててしまいました。

ビジネスで成功している人を注意深く観察すると、成功している人ほど「あたりまえのこと」をあたりまえにやっている
問題は、あたりまえのことはとてもシンプルで当然なので、誰のイマジネーションも刺激しないこと。誰だって倶楽部での昼食の話題を独占するような賢いアイディアや、独創的なか計画を好むもので、あたりまえのことは、あたりまえすぎるので、そうはいかないとのこと。

アダムスが手がけた、(あるいは、会社に自分を採用してもらうときのプロセスも)「あたりまえ」のプロジェクトの数々は、本当にシンプルなことの積み重ねで誰でもできることなのに、ほとんどの人が取り組んでいないことばかりです。

ニューヨークタイムズ紙の書評に「広告業界で成功を目指す若者は『あたりまえのアダムス』を座右の手引きとすべきだ。いや、どんな分野でも成功を目指す若者なら、この小さな本に詰め込まれた常識とビジネスの勘所に助けられるだろう」と書かれたのも納得。

巻末に「あたりまえかどうかを識別する5つのテスト」と「あたりまえのことを発見する5つの方法」が付録として収められています。
あたりまえのことだと自分で自分に言い聞かせていることが、実はあたりまえどころか、全くのこじつけだったりするのですが、どうやったらあたりまえのことが見分けられるようになるかがそこに書かれています。
それらが、私(ふるかわ)の経営する複数の会社の共通の理念の中にある、迷った時に自分に問いかける3つの質問「それは楽しいですか、それは自然ですか、それは顔が見えますか」と重なる部分も多いなと感じています。

読まれた方、ぜひ感想の共有会しましょう〜。

英語版(原書)はこちら


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