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【SELFの本棚】#009 会って、話すこと。 田中泰延

(文:ふるかわりさ)

帯にあった「人生が変わるシンプルな会話術」というキャッチコピーに惹かれて手に取ったこの本。表紙をめくって最初に感じたのは「字が大きい(嬉)」。余白が大きく、文字のフォントも大きいからかグッと集中しなくてもゆったりとした気分であっという間に読み進めることができました。

章は、
第1章:なにを話すか
第2章:どう話すか(とっかかり編)
第3章:どう話すか(めくるめく編)
第4章:だれと話すか
第5章:なぜわたしたちは、会って話をするのか?

会話の本ということで、各章の間には著者の田中さんと編集者の今野さんの一見すると軽めだけど深い会話がうまく折り込まれており、それのおかげで本文の内容をより深く味わうことができるようになっています。

第1章なにを話すかでは「相手はあなたに興味がない」という切り口から内容がスタート。次に続くのは「あなたも相手に興味はない」。本質をついたするどい視点だと思います。

私たちは実はお互いに大して興味がない中で、相手が興味を示していない自分の物語を喋ろうとし、自分があまり興味がない相手の物語にさも共感しているように相槌を打つ。そんな言葉のやりとりをやめ、「会話」をしようとすると、人間は必ず傷つくのだとも述べられています。

それでも「会って話すこと」を繰り返し、機嫌よく生きていくためのエッセンスがギュッと詰まった本。

たまたまですが、わざわざ飛行機を乗り継いで友人たちに会いにいく旅のお供に選んだこの本。旅の途中や帰りの飛行機で、大切な仲間と話したことや体験したことを振り返りながらこの本を読むことで、人との関わりや「会って話すこと」をじっくりと考え直すよい機会となりました。



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