中年になった今改めて良さがわかる

 今月25日はポール・サイモンのアルバム『Still Crazy After All These Years』邦題『時の流れに』が発表され45年にあたる。
このアルバムはマッスル・ショールズのスタジオミュージシャンの他にリチャード・ティー、スティーヴ・ガッドらスタッフのメンバーも加わり、よりアダルトな仕上がりになっている。そして彼らの作るサウンドをゲッツ&ジルベルト『イパネマの娘』の音響エンジニアでお馴染み、フィル・ラモーンが料理している。
 冒頭のバリー・ベケットのエレクトリックピアノからの幕開けが中年男の哀愁を漂わす。
夜の街角で昔の恋人にバッタリ出くわしお酒を酌み交わし昔話に花を咲かせながらまだ別れた恋人に未練がある情けなさ、おんぼろな家でオレンジジュースばかり飲んで2人で寄り添う。古いひざ掛けを買って帰ったけど途中でオレンジ色がブルーに変色してしまった。全ては君の愛があればこそ。
当時サイモンは最初の妻ペギーと別れたばかりだった。その心の痛手が作品の世界を作る。その中年男のや哀しみは自分が同じ中年になり、よりリアルに心に刺さる、そんな逸品だ。

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