おしゃべりしない。ただいるだけ。それもいいね
クマくんとピョンちゃんは、お花見に行きました。クマくんは、大きなおむすびをパクパク食べて、ビョンちゃんはだいすきなソフトクリームをペロペロしています。黙ってね。
やっとクマくんが口を開きます。「ピョンちゃん、ぼくたち、あんまり、おしゃべりしないね。ひさしぶりにあったのに」
「ピョンが、ねおきで、ねむたいこともあるけど、いつも、あったときは、無口だね、わたしたち」
ふたりは、また、黙って、パクパク、ペロペロ。
「かわむこうのお花見のひとたちも、きょうは静かだな。学校とか会社が始まったのかな」とクマくん。
ピョンちゃんは、あいかわらず、ペロペロしながら「うん、そうか。おしゃべりよりも、ただ、いっしょにいるだけでいいんだね。桜だって、菜の花だって、いっしょにいて、春らしくて、それだけでいいんだ」
クマくんは、ポツリと、「いるって、なんだろうね。なんにも、しないけど、ただ、いるって」
やがて、ピョンちゃんは、いいます。「そろそろ、おさんぽ、しますか。いるのあと、すこしだけ、する、のもいいよ」
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