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わが家のあたり、昔の風景を思ってみた

「古地図を買ってきたんだ」と友人がメールをくれた。「家の辺りも載っている。100年以上昔の風景を想像してみると、あらためて、わが家の場所が気に入ったよ」と。

中心地区であれば、ネットでも画像が見られる。川、橋、鉄道などは、時代が変わっても、変化が少ない。寺社仏閣の位置も移動しない。

近所で、道路が拡幅されるためか、遺跡の確認をしている。小屋が建てられて、発掘をする人々が集まる。楽しそうにお昼の休憩。「さあ、また始めるか」と掘り始める。

発掘は手で優しく、土の硬軟を感じながら、昔の建物跡を明らかにしていく作業だ。計測をして、写真の記録を残してから、本工事に入るのだろう。どこを掘っても、遺跡の出てくるところは、なかなか大変である。

住めば都83-2

江戸や明治の世ではなく、もっともっと大昔にも、ここらに暮らす人々がいたのだと、少しばかり感慨が湧いてくる。

住めば都も遷都する。日本には、ヨーロッパのように「1756年、この建物の3階でモーツァルトが生まれました」といったように、何世紀も現存する一般住居は少ない。それでも、自宅界隈の昔のイメージを思い浮かべてみるのは楽しい。「歴史の上に住んでいる」という感じがするせいかな。


関沢英彦(文・イラスト)
発想コンサルタント。東京経済大学名誉教授。コピーライターをへて、生活系シンクタンクの立ち上げから所長へ。著書に『女と夜と死の広告学』(晃洋書房)『いまどきネットだけじゃ、隣と同じ!「調べる力」』(明日香出版社)『偶然ベタの若者たち』(亜紀書房)他。論文に「記号としての心臓 なぜ、血液のポンプが、愛の象徴になったのか」「映画に描かれた『料理』と『食事』の4類型」「月の絵本 無生物とのコミュニケーションを描いたナラティブ」(いずれも『コミュニケーション科学』)他。

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