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文舵、練習問題①〈文はうきうきと〉問1

〈練習問題①〉文はうきうきと
問1:一段落~一ページで、声に出して読むための語りの文を書いてみよう。その際、オノマトペ、頭韻、繰り返し表現、リズムの効果、造語や自作の名称、方言など、ひびきとして効果があるものは何でも好きに使っていい――ただし脚韻や韻律は使用不可。

 夏の終わりの蝉時雨。うだる暑さにミンミンと、蝉の鳴くのに被すよに、ブンブンブンブンうなるのは、前方上方扇風機。汗をかきかき僕らがやるは、ファミコンソフト三国志。劉備関羽に趙雲張飛。僕が率いる蜀の国、攻めてきたるは大国魏。田島率いる大群に、わが陣営は虫の息。ついに劉備が討ち取られ、僕はお役御免となった。後はどうとでもなれと、二段ベッドの上にいき、ゲーム画面に目もくれず、只ひたすらに漫画読む。横山光輝三国志。夢中で読んで気が付けば、テレビは暗く誰もいない。僕は慌てて外に出て、みんなの名前を呼びながら、そこら辺りを駆け回る。すでに陽は低くなっていて、誰の姿も見当たらない。僕は両目に涙ため、とぼとぼとぼとぼ歩き出す。
 悲しくって悔しくて、涙が一向止まらない。田島吉田に津村に大木、呪詛の言葉を吐きながら、うつむき加減で歩いていると、
「みやうらー」
 と、名前呼ばれて驚いて、顔を上げればみんないた。市営の野球グラウンド。大急ぎで腕を上げ、両目を拭って声上げる。さっきの恨みは吹き飛んで、グラブを借りてキャッチボール。三十分で暗くなり、笑顔で手を振りまた明日。まだまだ遊び足りない僕の、宿題はまだ手つかずのまま。

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