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50の手習い(EWI奮闘記)~Ⅴ.今の自分の立ち位置

1.      本当ならJazz Fusionをやりたいけど


 少しずつ腕も上がってくると、やってみたい曲というのが出てきます。私の場合はJazz Fusionが好きなわけですけど、本田雅人の曲はホント難しいです。彼は天才プレーヤーの名をほしいままにしているくらいで、アドリブのところになると本当に音の「玉数」が多いわけです。「譜面が黒い」って感じるくらい16分音符や32分音符が並んでいるとクラクラしてきます。加えてアドリブの部分は#やら♭やらがバンバン出てきて、頭がおかしくなるわけです。

 それでも本田雅人在籍時代のT-SQUAREの譜面は割と持っていたので、それを見ながらやってみようとしましたが、「こりゃ無理だ!」と感じるのは一瞬でしたね。それでも『夏の惑星』というアルバムに入っている「Sweet Sorrow」というバラードは調号が一切なかったためにやってみました。えぇ、そうです、アドリブパートだけは無理でした。でもサビのあたりを吹いていたら、なんかジーンと来てしまって、自分の演奏に酔うって感じでしたかね。それだけでも気分がいいってもんだ。

 でもそれ以外にやれそうなものが本当になくて、「やっぱJazz Fusionのプレーヤーってすげぇな」と今さらながらに痛感した次第です。そうなると教則本に多くあるのがアルトサックス用です。これでスタンダードなジャズをやってみるのもいいなぁと思って一冊手に入れましたが、いまだに手をつけていません。いつかはやれたらと思っています。

2.      Musescoreを久しぶりに使ってみることに


①     これってかなり使えるソフトなんですけど……


 教則本は音源としてカラオケもついているわけで、そのカラオケに合わせて吹ければとりあえずクリア、みたいな感じになるわけですが、教則本には自分の好みの曲ってそうあるわけでもないので、どうやったら自分の好きな曲ができるかなぁなんて考えるようになりました。とは言え、私にDTMの知識なんか無く、譜面にも弱いですし、音楽理論なんて中学時代のそれで何とかやっている程度です。ましてや前にも書きましたが音感が悪いので、耳コピもなかなかできないわけです。だけどカラオケは欲しいという欲張りな思いをどうやったらかなえられるだろうと考えた時に、思いついたことがありました。

 ご存じの方も多いと思うのですが、「Musescore」という無料のソフトがあります。私も吹奏楽のサークルに頼まれてベースを弾く時に手書きの譜面をきれいにするためにバージョン1.0から使っていたのですが、マウスでちまちま入力するのがせいぜいでした。つまり、「楽譜の清書用」として使っていただけだったんですね。お願いされるベースのパートは音の数も少ないのでそんな使い方でよかったんですが、このソフト、実はかなり使えます。今は3.0になっていてかなり使いやすくなっています。


使ってみればすぐにこれが無料であることに驚きます。

 音符の入力もマウスを使うよりキーボードを使った方が早いこともわかりましたし(今まで何やってたんだというツッコミはご勘弁)、楽器を変更すれば音も変えて再生できることもわかりました。加えて、後述しますがMIDIで出力できるというのも驚きでした。MIDIの話はまたあとにするとして、これでピアノ伴奏くらいなら作れるかなぁと思ったわけです。しかも「Musescore.com」を見れば世界中の人が打ち込んだ譜面が上がっていて、ダウンロードするには有料ですが、見るだけなら無料ということで、楽器の数が少ないシンプルな譜面ならそれを見ながら自分で打ち直せばいいと考えました。またネットを探せば無料で出ている譜面なんかもあったりして、手間はかかりますが自分で譜面を作成していけばいいというのは朗報でした。それにヘ音記号ばっかり見てきた私にとって、自分で譜面を作成するというのはト音記号の譜面の読み方をしっかり学びなおせるというメリットもありました。

 ちなみにMusescoreはWindowsもしくはMacじゃないと打ち込めません。ですので、iPadやiPhoneを使っている場合は、アプリで見るだけになります。ですから私はiPadでスコアを出し、それをWindowsで打ち込むという気の遠くなる作業をやっていたわけです。

②     「木蓮の涙」のスコア


 まずやってみたいなぁと思っていたのは、スターダスト★レビューの「木蓮の涙」です。歌があっても素敵な曲ですけど、これをインストでやったらどうなるのかなぁという思いがありました。調べてみればネットにピアノ伴奏譜面があったので、それを見ながら打ち込みました。幸い私はベースをやっていたので、へ音記号の譜面には割と慣れています。そこからピアノ譜面をなんとか時間をかけて打ち込み、再生するとちゃんとできるわけです。音質どうこうは別として、ちゃんとピアノの音で雰囲気も出ています。教則本を離れて最初に取り組んだのがこの「木蓮の涙」でした。メロディーはアルトサックスを使ってやってみましたが、うまい下手は別として楽しかったですね。

③     ヤマハの二つのサイト:「ぷりんと楽譜」と「YAMAHA DATA Shop」


 とはいえ、無料で譜面を探すのにも限界があります。やって見たくても譜面が見つからないと言う場合がほとんどです。でも伴奏があった方が気分も盛り上がりますよね。と言うことで譜面を安く手に入れるサイトは無いものかと探してみたら、すぐに行きついたのが「ぷりんと楽譜」というサイトでした。これはヤマハが運営するサイトで、メロディー譜ならだいたい200円程度、ピアノ伴奏つきだったらだいたい500円程度です。楽器をやっておられる方ならまず知っているサイトだと思います。これから楽器を始めようという方なら知っておかなければならないサイトでしょうね。結構な数の曲があって、しかもサンプルが見られるのでキーもわかります。そのキーで今の自分にできるかどうかを判断して購入するかどうかを決められるというのは本当にありがたいです(上級者ならそのサンプルだけでやっちゃうんでしょうけど……)。

 楽譜のサイトは他にも結構あって、「@Elise」というサイトも結構曲があることがわかりました。しかも「ぷりんと楽譜」にない曲もあったりして、私は今のところ有料の楽譜はこの二つのサイトで調べてから購入することにしています(曲数では圧倒的に「ぷりんと楽譜」の方が多いと思いますが)。

 海外は、というとこれは無数にあります。ですがクレジットカード決済であるのは仕方がないとして、やっぱりちょっと怖いですよね。今のところ海外のサイトから譜面を購入したことはありませんが、洋楽をやるのであればそろそろ考えないといけないと思っています。

 とはいえ、伴奏を全部手で打ち込むのも大変です。ノリのいい曲だとバンドスコアとなるわけですが、パートを全部打ち込むのも大変な作業です。ところが、YouTubeを見ていたら、「YAMAHA DATA Shop」と言うサイトの存在を知ることになりました。これはMIDIデータを200円程度で購入できるというものです。それを使って伴奏を用意し、EWIを演奏している人の動画を見て、自分もそれを使えるのではないかと思うようになりました。結果として現在はそれをかなり利用しています。いやぁ、YouTubeさまさまですね。

④     鬼の打ち込み~洋楽をやってみようか


 やりたい曲は何かなぁと考えた時、Jazz Fusionはちょっと敷居が高いとわかり、まずはポピュラー音楽をたくさん練習して基礎的な技術を高めていった方がいいという結論に達した私は、かつて聴いていた洋楽にまで範囲を広げてやってみたい曲を探すようになりました。

 前述の「ぷりんと楽譜」もそうですし、「@Elise」もそうですが、洋楽もそれなりにそろっていていろいろ楽しめます。ピアノ伴奏程度ならなんとかなるかなぁと思いとにかくお金をかけずに(EWIを買うのでかなり散財してしまったせいもありますが……)伴奏を用意しようということで、年末はひたすら打ち込み作業に徹していました。と言ってもそんなにはかどるものでもなく、打ち込めたのは5,6曲程度でしたが、あとはEWIでメロディーを練習するだけとなりました。Cyndi Lauperの「Time After Time」や「True Colors」はC調だったのがありがたかったですね。

 Jazzのスタンダードな曲に関しても、教則本はたくさんありますし、EWIを始めた人はアルトサックスの教則本で練習される方も多いようですから、いずれ私もやってみたいと思っています。とは言え、この歳で新たに始めた楽器ですので、とりあえず無理せずやりたいようにやってみて、必然性が生まれたら取り組むっていうくらいの緩いやり方がいいかなぁと思っています。それにJazzだとアドリブも必要になります。アドリブとなると楽典の知識が当然必要になるわけで、乏しい知識ではなかなか楽しめないでしょうから、まずは楽しくやってみて、そこから楽典の知識を少し鍛えつつ、機が熟したらJazzに行こうかなぁと今は考えています。

3.      MIDIの扉

①     オーディオインターフェースとCubase


 Musescoreをパソコンで再生しながらEWIを演奏するには、やはりオーディオインターフェースが必要なのだということがわかってきました。オーディオインターフェースもいろいろあってどれがいいのかなんて全然わかりませんでしたが、「ループバック機能」というものがあると楽なんじゃないかということはわかってきました。ご存じない人のために解説すると、そもそもオーディオインターフェースは「インターフェース」ですから、パソコンへ音を送るものです。ですが、パソコンで音を鳴らしてそれを聴いて演奏したものをまたパソコンへ送るという作業ができれば私の中ではイメージ通りになるわけです。オーディオインターフェースは配信したり、打ち込みで録音したりするのに使うものなのでしょうが、こういう演奏でも力を発揮してくれるんだったら「ループバック」の機能はあった方がいいかなぁと思ったわけです(でもまぁ、別に「ループバック」機能が無くてもなんとかなるということは後になってわかりましたけど……)。

 いろいろ調べて手に入れたのが、ヤマハのAG06です。トラック数が多いことに目がくらんだわけじゃないんですが、たまたま安く売っていたのを手に入れたらそれだった、ということです。加えて、Cubase AIがついてくるというのも大きかったですし、このCubase AIも機能は限られているとはいえ、初めてのDTMには必要にして十分すぎるほどのスペックを持っています。別にプロになりたいわけじゃないのだし、これで私には十分すぎるほどです。インストールと音が出せるようになるまでは結構苦労しましたが、今ではこれがデフォルトになっています。

YAMAHAのAG06。今は後継機が出ていますが、品薄なようです。


 そのオーディオインターフェースに有線でEWIをつないで、オーディオインターフェースのヘッドフォンをつないで練習しています。Musescoreを再生し、それに合わせて演奏していたわけですが、これだけでも私には理想的な環境だなぁと感じつつも、ネットを見ているといろんな情報が入ってきます。それが次で述べるMIDIなわけです。

②     MusescoreからMIDI出力ができることに気づく


 それにしてもMusescoreはかなり優秀でしかも無料と言うことなしなソフトであるわけです。DTMの打ち込みとなると何で打ち込んでいくのかと思うわけですが、その辺りは人それぞれであるとは思うもののMIDIキーボードを使うのが一般的だと思います。ところが私の場合、鍵盤はまったくダメ。まぁピアノを習った経験ゼロの人相当ということなので、MIDIキーボード自体を持っていません。そうなると、Cubaseにしたって打ち込む手段はマウスしかないわけです。ですがMusescoreだと譜面を作る要領で、しかもパソコンのキーボードからも入れられるわけですから、小学校卒業程度の楽典の知識さえあればなんとかなるわけです。ですので私はMusescoreを使って打ち込んでいたわけです。

 そしてそのMusescoreからなんとMIDI出力ができることがわかりました。MIDIデータファイルをMusescoreに読ませれば譜面になる、と聞いたのでやってみたところめちゃくちゃな感じになってしまって「こりゃダメだ」となったわけですが、「ん? 逆もできるわけ?」となってやってみたところすんなりできちゃったわけですよ。もちろん知っている人からすりゃ「なんだ今ごろ……」って思われるかもしれないですけれども、それが分かった時はもうホントすごいうれしかったわけです。これまで書いた譜面がMIDIになるってわかった時点で世界が広がったような気がしました。そしてとうとう私はMIDIの扉を恐る恐る開くことになったわけです。

③     初めてのMIDI


 MIDIの存在は、私が高校生の頃から知っていたわけなんですが、私には無縁だなぁとずっと思っていました。キーボードを巧みに操る人が踏み込む世界だと勝手に想像していたので、鍵盤アレルギーの私からすれば一生縁がないだろうという感じだったんです。

 それが今やDTMですよ、MIDIですよ。どうしちゃったんでしょうか、私は。50を過ぎてMIDIなんて信じられないです。まぁ「MIDI? 何それ? おいしいもの?」っていうわけではなかったのはまだよかったですし、高校生の時に原理のまた原理みたいなものだけは知る機会があったものですから、そういう意味では抵抗というのはあまり無かったですね。それでもすごく高いハードルであることは間違いないわけで、これがこれからどうなっていくんだろうという不安はあります。

 とはいえ、今の時代は便利な時代です。MIDIのデータをいちいち作るのはかなり骨の折れる作業です。そういう時のインターネット。ネットを使ってMIDIのことを調べていたら、結構無料でもデータが転がっていることがわかってきました。中にはウィルスも混じっているものもあるらしいので安心はできませんが、フリーでMIDIデータをゲットできるサイトもいくつか見つけ、80年代から90年代に聴いていた洋楽のMIDIデータを結構ゲットしました。いやぁ、便利な時代になったものです。90年代に頑張ってMIDIデータを作ってこられた先人たちには申し訳ない気持ちですが、ありがたく利用させていただくことにいたしましょう。もちろん商業利用なんかするつもりもないので、あくまでも研究用として、ですけどね。

④     「雪の華」


 さて、年が明けて2022年に入ったころから、私には演奏してみたいなぁと思う曲が出てきました。そのうちの一つが中島美嘉の「雪の華」だったんです。音楽はジャンルを問わず聴いてきた私ですので、あくまでも自分にとって「良いものは良い」という感覚を貫いているわけですけれども、この曲がまさにその一つです。これもMusescoreのサイトを見ながら書き写し(Musescoreで打ち直す)、最初はピアノ伴奏だけだったんですが、いろんなところを見ているうちにシンセの音やベースの音やドラムの音まで追加していって、気が付けばフルスコアができてしまいました。それをMIDIにしてCubaseに読み込ませると、あら不思議、ちゃんとした伴奏じゃないですか。こりゃぁ頑張って練習しないとなぁと思い、今なお練習を続けています。それにしても今の曲って結構難しいですね。MIDIを知ってからいろんな曲をやり始めているんですが、今の曲は結構複雑な曲が多いような気がします。50過ぎてなお、今の曲にもそれなりに理解を示さなければならんというのが私のポリシーでもあるので、そういう意味では今の曲も新たな発見が多くて楽しいです。まぁうまく吹けるかどうかはまた別ですけれども。

リビングで夜な夜な練習するときの環境です。



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