11 食糧から見る、アメリカの現在地 青木真兵
前回の白岩さんの論考を受け、〈征服者/強者〉〈非征服者/弱者〉の関係を考えようとして気づいたのは、私たちが二項対立の枠組みのなかに固定化されがちだということだ。
支配と被支配、帝国と植民地、勝者と敗者……。これらの図式は、確かにある特定の場面には適応できるのだが、そもそも完全なる強者、完全なる敗者というものが存在するのかと考えると、疑わしくなってくる。
なにも言葉遊びをしようとか、概念を捏ねくりまわそうというのではない。例えば時間軸を伸ばすことで、「あのときの負け」が今の自分