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『ヤングケアラー わたしの語り』出版によせて

2020年10月末に「生活書院」さんから書籍が出版されました。

家族やきょうだいのケアを経験してきた当事者7名の内の一人として、私も書かせていただきました。
(この書籍は本名で掲載していただいております。)

私自身のコーダとしての生い立ちや想いを、セキララに書きました。

これを書くにあたり、閉じ込めていた過去の自分と向き合う作業が必要で、それこそ泣きながら文章を書きました。
自分でもなんでこんなに泣いているのかと笑ってしまうときもありました。私は真剣に過去と向き合ったのです。
幼かった自分が泣けなかった分、今になってその当時の気持ちを自分で救い上げ、洗い流すかのように涙が止まりませんでした。

編者が書籍『コーダの世界』を書いた澁谷智子さんだということが、何より私が「書いてみよう」と思えたきっかけでした。
コーダのことを理解してもらえるだけでもすごいことなのに、さらにご助言までいただき、おかげさまでなんとか無事に書き上げることができたのです。
澁谷さんには感謝しきれません。


「どうせコーダのことなんて書いても、人には分からないだろう」
と思っていた私が、
「私が書くことで、コーダについて知ってもらえるかもしれない」
という思いに変わったのです。

「コーダはヤングケアラーなのか」とはコーダ自身も常々考えてしまうところではあります。
今回の書籍では、私はコーダ代表として書いたわけではなく、あくまでも私個人の経験談を書かせていただきました。
コーダは本当に十人十色。
ひとりとして同じコーダはいません。
そして、私が書いたものは決して特別な経験ではなく、私の中では当たり前の経験。
文章にしてみることで、新たな気づきや思い出すこともあり、出版されたばかりだというのに、「あれもこれも書きたい」と、今では欲まで出てきています。

私がこうしてコーダのことを書くことで、共感してくれるコーダがひとりでもいてくれたらと願いつつ、「つらいのは決してあなただけではない。あなたはひとりじゃない。」というメッセージを受け取ってほしいと思っています。

コーダという言葉があるということ、コーダの存在、コーダの想い。
それらを理解してくださる方が少しでも増えてくれたら嬉しいですし、耳の聞こえない親のこともコーダのことも、ありのままを受け入れていただけたらと思います。

ろう者にもぜひ読んでほしいと願っています。


↓↓ こちらが書籍掲載の元となった記事です ↓↓



ぜひ手話でご挨拶を申し上げたいところではございますが、手話には文字がありません……なんということでしょう!…ということで、これからも日本語で文章を書いていきたいと思う所存です。