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夏川椎菜 Album『コンポジット』impression

我らが夏川椎菜さんの2ndAL『コンポジット』のインプレッション。レビューとは違う気がする。レビューというにはあまりにもとりとめのない文章になってしまったので。

アルバムリンク
https://music.apple.com/jp/album/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%83%83%E3%83%88/1607058308?ls


M-01 ハレノバテイクオーバー
先行SG『クラクト~』に続いて安心安定の作詞・作曲田淵智也。歌詞のグルーヴがかなり効いていて気持ちいい。
入りからかなりラウドなバンドサウンド。この作風にシフトしていくのは寂しさもあるが、いかんせん夏川椎菜の歌がどんどんパワーアップしているのでそれを考えると今このタイミングでこの方針を採るのはひとつの正解なのかもしれない。寂しさもあるけど。
2サビの「掲げた拳を後悔なんかはさせない!/けど君にも覚悟をして欲しいんだ」がかなり好き。Pre-2nd Tourでの彼女の姿があまりに頼もしかったので説得力がある。夏川椎菜リスナーが言われたい言葉を選んでいるようなところに田淵の上手さを感じる。


M-02 烏合賛歌
本人作詞曲。初の漢字タイトル曲。何回も聞いてると好きになってくる。新しさはないけどライブで盛り上がるんだろうな~という感じ。オタクのコールが聞こえてくる。
2Aメロ「止まってんならついてけないの/アナログ好きの賢者サマ」が彼女らしくて良い。


M-03 アンチテーゼ
先行SG曲。ボカロPの人が提供しているらしい。そう言われてみるとボカロっぽさが強いわな。
サビは高音域で殴り続けるようなメロディーで歌い方に必死さを感じる。ライブの終盤にやるとそれが顕著になってなお良いんですよね。ライブ音源も聞いてほしい。
2Aメロ「落下したって~」のとこが好き。それにしてもこういうハードな曲を自分のものにするとはソロデビューした頃には想像できませんでしたよ。あの頃は授業参観のような気持ちで見ていたのに、今やこんなに力強いんですもの。


M-04 トオボエ
正直、今作の中では一番微妙だった。ベタベタのアニソンすぎてそれを夏川椎菜が歌う必然性はありますか?っていう。


M-05 RUNNY NOSE
先行SG『アンチテーゼ』のカップリング曲。聞き慣れてるから聞けるけど好みではないかな……。グッドメロディーがほしいぜ。


M-06 サメルマデ
やぎぬまかな(カラスは真っ白)提供曲。クレジット見なくても分かるぐらいにカラスは真っ白。
バンドサウンドではあるけどここまでの5曲と比べるとだいぶ軽快で聞きやすい。シンセやらギターやらの密度が下がってピアノにフィーチャーしてるのが功を奏してるんですかね。個人的にはこれくらいのバランスが一番好き。


M-07 奔放ストラテジー
みんな大好き付点8分ディレイの時間だ!!!!!!!!!!
この曲もボカロPの人が書いてるらしい。めちゃくちゃ好きというわけではないけどそこそこ好き。ボカロPの人の書く曲って詞も曲も「ボカロっぽさ」に寄りがちで敬遠してしまうんだけど、それはそれとして楽曲を構築する能力が高いんだろうなあという感じはする。


M-08 ミザントロープ
こういうのが聞きたかった。星5。前ALの『キミトグライド』と同じような立ち位置のミドルテンポの楽曲。ボーカリスト夏川椎菜の真骨頂はこういうところにあると思う。
オルタナっぽさのある乾いたギター。00年代邦ロックみたいな緩急。ザラザラした質感のボーカル。ありがてえ、ありがてえ……。
メロディーと母音の相性が素晴らしい。特にサビの「夢[ま]ぼろしの[はな]し」「これ以上[だま]せない」「き[ら]き[ら]の[なか]み」といったア段の響き。夏川椎菜のaの鳴らし方はいつも良いんだけどこの曲はその良さを腹いっぱい味わえる。作詞の田中秀典さんへの感謝が止まらない。
歌詞は一曲通して良いんだけど、特に1Bメロの「誰かの希望になれなくてごめんなさい」が刺さる。淡々としたAメロが通り過ぎたと思ったらBメロで一気に情緒のフィールドに引き込まれる。ハッとしてしまう。こういう歌詞を書けるようになりたい。
この文章を書くためにループ再生しているんだけど、次の曲に行きたくないぐらいに好き。2022年、これを上回るフェイバリットソングに出会えるのだろうか。


M-09 ボクはゾンビ
曲名にひらがなが入るのは初めてかな。いかんせん前の曲と次の曲が良すぎるので存在感が薄れてしまうが結構好き。
1Bメロ「難攻不落の」のとこの音のハマり方が気持ちいい。1Bメロ「絶対、絶対」、2Bメロ「了解、了解」のa音の響きも。


M-10 すーぱーだーりー
甘々ラブソング、しかも本人作詞。こんなことがあっていいんだろうか。予想もしない事態だったので面食らってしまった。
作中主体がとことん斜に構えためんどくさい性格で描かれていているのがまた良い。こんなもんひねくれカノジョ夏川椎菜との擬似恋愛じゃないですか。暴力的ですらある。「言葉だけでわかろうとしてないよね?」「だからね?全部説明してちゃキリないでしょ?」、言われてえ。言われてえよ。
付け加えておくとギターのフレーズが良い。普通に。ただそれどころじゃないぐらいに幸福の雨が降り注いでいる。助けてくれ。


M-11 That's All Right !
先行SG『クラクト~』のカップリング。それまでにない力の抜けた歌い方で余裕を感じたのをよく覚えている。ボーカリストとしてのレベルアップからくるものなのでしょうか。
派手さはないけど楽しい曲ですよね。「へぇい!」とか「おーらい!」とかひらがなで発声したくなる。


M-12 ナイトフライトライト
アルバム中盤からバラエティに富んだ楽曲が続いていたので、ここでストレートな楽曲が入るとちょっと消化不良な感がある。曲順次第では好きになっていたかもしれない。
サビの前半のメロディーには少しだけスピッツっぽさを感じた。少しだけ。「~世界だからさ」のとことか。


M-13 クラクトリトルプライド
先行SG曲。作詞夏川椎菜、作曲田淵智也。
2サビ「次はわかんないし またねとか言えんからさ」、このフレーズをコロナ禍のPre-2nd Tourのアンコールの最後で歌っていたもんだから今聞いてもグッと来てしまう。
ここ1年で聞きすぎて(2021年再生数1位だった)今さら何を書いたらいいか分からないけど、アルバムの最後にこれが来ると安心する。僕にとっても、おそらく夏川椎菜さんにとっても特別な曲であり続けることでしょう。

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