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病気の概念

突然のメッセージ

村上春樹の「職業としての小説家」という本の中で、こんな一節が出てくる。
1978年4月のよく晴れた日、スワローズの野球をみていた。先頭打者ヒルトンが2塁打をうった。
「バットがボールに当たる小気味の良い音が、神宮球場に響き渡りました。(略)そのときに、何の脈絡もなく何の根拠もなく、ふとこう思ったのです。『そうだ、僕にも小説が書けるかもしれない』と。」
今や国際的にも有名な村上春樹が、ある日突然降りてきた啓示を紹介していた。

病気って、原因があるんだ

この一節を読んだ時、私にも身に覚えが3回ほどある。ある日突然、降りてきた啓示のようなことが。それは、ひらめきとも言うし、気づきとも言うかも知れない。大袈裟に言えば、神の啓示みたいに言う人もいる。そのどちらでも良いと思うが、人には、左脳で分かるのではなく、もっと深いレベルで気づきを得る瞬間が誰にでもあるのだと思う。その1回目を今日は紹介する。(また、別の機会に2,3回目はご紹介しますね。)
2011年大震災があった年に私は、統合医療の先駆者である矢山利彦先生に出会った。そして、バイオレゾナンス医学なるものに出会い、学会に入会した。医学部で教わったこととは、概念が異なることも多く、困惑していた。ちょうど、何年か前にインフルエンザワクチンを1年に2回打つことが推奨されていて、打ったばかりの頃、ワクチンの裏事情を学会の先生方から聞いて、愕然とした。
そんな私が、2012年夏だったと思う。大学院生だった私は、自治医大近くのアパートに夫と一緒に暮らしていた。夕食を食べ終わった時、突然
「病気には、原因があるんだ。」って気づいた。
バイオレゾナンス学会でも色々と聞いていたし、左脳では分かったつもりになっていたが、やはり、今まで教わった医学の洗脳というか、枠組みから外れないでいた私だったが、突然と気づいたのだ。

病気を何だと思っていたか

では、それまでは私は病気を何だと思っていたのか。実は、2012年夏までは、私は、病気は、何か得体の知れないものが原因で、原因がはっきりしないことが通常だろうと思っていた。
だから、得体の知れない原因にアプローチするのではなく、病気になっている病理学的プロセスを学び、それを止めること(これを対症療法と言うのだろう)しか私たちはできないんだと思っていた。
その当時、大学病院で外来を週1回担当していた医局には、MRが顔を出していた。美味しいお弁当を食べながら、MRの説明を聞く。花粉症対策として、花粉症になる1ヶ月くらい前から、抗アレルギー剤を内服し、症状を軽減を図ろうと言う話だった。そこには、当然データの提示もある。1ヶ月前から薬を服用した人たちと、症状が出てから薬を服用した人たちの、ヒスタミン値やら自覚症状のスコアやらの比較を見せられたと思う。なるほど、1ヶ月前から飲んだ方が自覚症状もヒスタミンも抑えられるのだと当時の私は納得した。単純な私は、その通りに、花粉症に悩む患者さんに、「早めに薬を飲むと、ピーク時の症状が抑えられますよ。なぜなら、花粉がピーク時に、ヒスタミンがたくさん出なくなりますから。」と説明していた。
花粉症の原因は、単球(肥満細胞)が花粉に反応して、ヒスタミンをたくさん出すことだから、ヒスタミンをあまり出さないように、単球を刺激しないように薬を飲みましょうと言うことだ。
理にかなっている。と当時は思っていた。そして、患者さんは、春や秋など花粉症シーズンになると毎年薬を飲み、その薬はだんだん効かなくなり、薬が要らなくなるなんてことはないと言うのが、医学界の常識だ。これは今でもそうだと思う。

花粉症の本当の原因は?

ところが、バイオレゾナンス学会の会員の先生のところに診療見学に行くと、デトックス治療をしていくと、抗アレルギー薬が要らなくなると言う症例を目の当たりにした。
アトピー性皮膚炎もそうだ。リンパ球の過剰反応がアトピー性皮膚炎の原因だから、ステロイド外用剤で過剰反応を抑えると言うのが、医学界の常識だ。ステロイドはだんだん効かなくなり、マイルドからストロング、ベリーストロングと強くなっていく。
ところが、バイオレゾナンス学会での症例報告を拝見すると、病気の真の原因にアプローチし、解毒していくと、だんだん、ステロイド外用剤が要らなくなるという。

病気の原因って、環境要因なんだ。

そんな症例を目の当たりにしていた日々を過ごしていた2012年夏、私は夕食を食べ終えた私は、突如
「そうか、アレルギーに関わらず、全ての病気には原因があるんだ。その原因にアプローチすれば、病気は治るようにできているんだ。」
と気づいたのだ。
これは、医者になって10年くらい経った頃だったろうか。当時の私にとっては衝撃だった。だって、病気の原因ははっきりしないことが多いが、対処する方法があって、その薬の使い方を覚えるのが臨床の大半だったから。私の医師頭は、ガラガラと音を立てて、崩れていった。

そこから始まった病気の原因探し

病気の原因は、外的要因とそして心の持ち方。これが、バイオレゾナンス学会で教わったことだ。
外的要因とは、重金属、化学物質、電磁波やジオパシックストレス、潜在感染だ。それらを、ゼロサーチで測定し、解毒できる漢方やタチオン散などを処方していく。
そして、それらの元となっている、食べ物や水、吸っている空気などに気を使ってもらうため、生活習慣指導をする。
そして、もっとも大切なのは、マインド。病気は自分で治せることができるという自己効力感を持ってもらう。
とても、地道な作業である。
でも、それこそが、病気治しの始まりなんだと思う。

解毒力の増強のためには、免疫力アップが必要

解毒のためのステップ別治療法のほかに、基礎的な免疫力の増強を図るのが当院の治療方針だ。
それ故、食事のバランスや摂り方の指導もするし、ミトコドリア代謝を上げて、免疫力を上げる治療を追求していくこととなった。

病気の概念の違い

現代医学では、特に慢性的な病気の概念を考える時、病気の根本原因というよりも、その病理学的プロセスを重視し、そのプロセスをいかに阻害するための治療薬を作り出すのかということに注力しているように、私には思える。そのことが、完全に無駄だとは思わないが、本質から外れているように思えるのは私だけだろうか。
一方、統合医療的アプローチは、病気の根本原因にアプローチする。ただ、長年の生活習慣によって蓄積された要因を取り除くことは容易ではないし、100発100中治るわけではなく、病気の原因は複合要因なので、根本治療も、試行錯誤を要する。でも、このアプローチは本質的で、方向性は間違えていない。だから私は、この本質的な医学の追求を一生やっていきたい。

世界基準の統合医療を確立する

私が、最近感じているのは、統合医療というのは、とても本質的な医療を追求し実践しているのに、とにかくアウトローである。
当たり前と言えば当たり前なんだが、やはり悔しさがある。
「いつかギャフンと言わせたい。」
一体誰をギャフンと言わせるんだという気がするが。
とにかく、エビデンスがないじゃないかと言われるのも悔しい。
だから、大学院時代に学んだ臨床研究の知識を使って、統合医療の分野でエビデンス構築していきたい。そして、現代医学で活躍している医師たちにも納得してもらえる形で、本質的医療を提示していきたい。
そのために、研究や論文作成含めて、追求力と表現力が大切なんだと思う。
最近、ランニングを始めて3ヶ月くらい経ったが、体力がついてきたと同時に、脳の基礎力が上がっているように感じている。
そうだ、いやさかリゾートクリニックを、世界基準の統合医療のメッカにしよう。そんなことを仲間と考えている。
乞うご期待!!!



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