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天満の街に気圧されて

職務上の都合で、天満に通うようになった。この街に来ると、つい身構えてしまう。街頭インタビューのメッカだからだ。身構えると同時に、ちょっとした期待感がよぎる。カメラクルーを見かければ、その前を何度か往復してしまう。だいたい声はかからない。人より目立つ方だとは思うけど、そういう話じゃないんですかね。

5年ほど前まで、天満のすぐ近くに住んでいた。シャギーの入った金髪がトレードマークの隣人のことは、ファイナルファンタジーと呼んでいた。そのころからすると、街の印象もずいぶん変わった気がする。ギラついたヤングの、威勢のよさばかりが目立つようになった。あの東洋ショーのリーフレットが、A4用紙にインクジェットプリンタで印刷されたもので、なおかつ手折りされていることを知る人は少なそうだ。この傾向は福島も同様である。梅田の両隣には、なんとなく自分には属せない文化があるように思う。

ともあれ、通うようになったからには、インタビューは受けてみたい。番組のステッカーをもらいたい。実はファイナルファンタジーと壁一枚隔てて暮らしていたころ、一度だけ声がかかったことがあるのだけれど、そのときは断った。当時の勤務先である、茶屋町のテレビ局のみなさんだったからだ。

それにしても、在阪テレビ各局はどうして街の声を天満にばかり代弁させるのだろう。たまに気を利かせたとしても、せいぜい千林である。これでは意見にかたよりが出るように思われてならない。たまにはギラギラに気圧され、アウェー感に泣くロン毛にも話を聞いてくれないだろうか。

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