僕は高速道路のSAに時計を捨てた
不覚だった。そんなつもりじゃなかった。しかし、別れは前触れもなく突然に呆気なく訪れた。
ちょうど一年半前くらいのときだろうか。僕はインカレ後、アドバイザー車に乗り、帰りの旅路の途中だった。
下道走行後、高速道路に乗った。高速走行後、一回目の休憩に入った。
僕は、食べ終わったお弁当が入った袋を、高速道路のSAのゴミ箱に捨てた。
そして、一回目の休憩が終わり、僕たちは一つ目のSAを後にした。
しばらくしてだろうか。ふと、自分が時計をしていないことに気付いた。あれ、時計どこやったっけ?バッグの中を探してもどこにもない。あれー、どこやったんだっけー?としばらく考えて、ハッとした。あ…もしかして…。
そのもしかしてだった。僕は、食べ終わった後の弁当と一緒にとりあえず時計をスーパーの袋に入れておいたのだ。そして、あとで取り出して回収すればいい、と何気なしに考えていたことをすっかり忘れてしまっていたのだ。
もう気付いたときには時すでに遅しだった。僕はこうして時計と呆気ない別れを遂げた。
あの時、少しでも違和感に気付いて、袋の中身を確認していたら、と思うと今でも悔しい気持ちになる。しかし、時計はもう戻ってこない。
これからは捨てる予定の袋に大事なものを出来る限り入れない、という教訓を胸に新しい時計を購入するのだった。
(ちなみに時計を捨てたSAは、写真の佐野SAではありません)
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