本田劇場グループ presents「DISTANCE」をみました
【私の感想】
劇場からの配信が意味深い
演劇というよりはコント
【公演概要】
本多劇場グループ PRESENTS
DISTANCE
企画・脚本・演出|川尻恵太・御笠ノ忠次
公演期間:2020年6月1日(月) - 6月7日(日)
出演:(日替わり)井上小百合、入江雅人、伊礼彼方、柄本時生、小沢道成、片桐仁、小林顕作、近藤芳正、清水宏、鈴村健一、永島敬三
/川尻恵太、御笠ノ忠次
配信媒体:Streaming+
詳細HP:http://distance.mystrikingly.com/
2020/06/04/20:00開演観劇
本田劇場からリモートで上演する企画。出演者の顔ぶれ―というかお名前を拝見したとき、不勉強のため知らない方が多く、依然の私だったらチケットは買わないだろうと思った。が、せっかく時間がある今、PCさえ操作すれば鑑賞できる手軽さなのだから、と購入。以前から演劇に関しては、なるべくえり好みせず、まためんどくさがらず観に行こうと心掛けていたつもりだ。しかし、劇場にたどり着くまでの迷子やら不安やらはそれなりに大きなストレスだったようで、「苦労しても観に行くか」という基準を持ち出してしまい結果自分の好みに合わなそうな芝居は避けてしまっていたと気づいた。オンラインだからこそ、普段観なかったものに触れるチャンスなんだろうなー。
この企画は『人のいない劇場』そのものが大道具というか、『人のいない劇場』を舞台に繰り広げられることで意味合いが増す芝居が展開する。設定としては、芝居が無くなり使用されなくなった劇場を二人の男が掃除しているところから始まる。悔しいと思ったのは、映像が見れず、肌感覚をディスタンスして―肌の触覚が伝わってこない状況で音声だけ聴いていても、大道具に関する手掛かりが全くと言って良いほど無いことだ。観客のいない劇場がどのように使われているか、今どんな空間で、俳優がどう動いているかが分からない。想像で補っていくわけなのだが、「観客がいないんだから客席を自由に動いているのか、あえて舞台にいるのか」「座席は出てるのか出てないのか」と空間が定まらない。それが分からなくてもストーリーには影響無いのだが、私にとって俳優が立体的な人間として動いて行かない感じがした。リモートの難しさと、最近想像力をつかわなさすぎて衰えたのかもと感じた。
さて、ある言葉をきっかけに一人芝居が始まる。今回は小林顕作さんがシェイクスピアの作品のタイトルを覚えやすくする、という遊びみたいだと私は感じたが、一応授業という設定で行う。文章にしたりラップにしたりばかばかしくて良かったけれど、中でも喜劇のタイトルを歌にしたのには笑った。「『じゃじゃ馬ならし』の『ベローナの二紳士』」なんてただくっつけただけなのに意味が通る1節になって面白かったし、後半は『ペリクリーズ』を「ペリ」と「クリームチーズ」に分けるむりやりさが面白かった。最初は単純なルール、でも意味もあるものができる、最終的には強引に形にする。この流れは笑いの基本なのかも知れない。
全体的に、演劇というよりコントをみた感覚だけれど、劇場から発信するということは意味深い。
また日替わりで一人芝居の演者も内容も変わるので、全体的な雰囲気は大分変わるらしい。次回の観劇も期待している。
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