本田劇場グループPRESENTS DISTANCEをみました

【私の感想】
人間味の溢れる読み聞かせ
パフォーマンスの多様性は劇場ならでは

【公演概要】
本多劇場グループ PRESENTS
DISTANCE
企画・脚本・演出|川尻恵太・御笠ノ忠次
公演期間:2020年6月1日(月) - 6月7日(日)
出演:(日替わり)井上小百合、入江雅人、伊礼彼方、柄本時生、小沢道成、片桐仁、小林顕作、近藤芳正、清水宏、鈴村健一、永島敬三
   /川尻恵太、御笠ノ忠次
配信媒体:Streaming+
詳細HP:http://distance.mystrikingly.com/

2020/06/08/12:00開演観劇

 劇場から配信される芝居をオンライン上で観劇する企画『DISTANCE』、私が2作品目に観劇したのは片桐仁さんの会だった。

 この芝居は、演劇は消えてしまった時代、かつて演劇が行われていた劇場を、二人の男が掃除しているところから始まる。「演劇ってどんなもの?」という話から日替わりの出演者が行う一人芝居へとバトンタッチし、また一人芝居が終わると二人の会話に戻る、という構成だ。行われる一人芝居は劇中劇ということになる。
 今回片桐仁さんが行ったパフォーマンスは絵本の読み聞かせ。読むのは設定や役をまとわない、素の状態にみえる本人だ。前段階の劇は設定があって、確固たる役を演じている役者が出てくるのに対して、劇中劇には素の人が出てくる。そして、劇中劇中劇ともいえる、絵本の読み聞かせを始める。違和感もあるが、面白い構造だと思った。

 読み聞かせは3冊。知らないストーリー、作家の背景に出あえて面白かった。また、人の声で絵本に触れる体験が新鮮だった。動物や野菜や虫の話が、人間味に溢れて聞こえてきた。「お子さんにこんな風に読み聞かせしているのかな」と考えたくなるような温かさがあった。

 『DISTANCE』は2作品しか観なかった。どちらも王道的な演劇っぽい一人芝居ではなかった。しかし、劇場で行われているパフォーマンスにはいろいろなものがある。お笑いライブや落語だって劇場で行われるし、片桐仁さんの読み聞かせは毎年世田谷パブリックシアターが主催して行っている。劇場の使い方は自由。パフォーマンスの多様性こそ劇場の懐の深さと、思いだす機会になった。

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