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DELE C1、2024年4月試験


DELEとは?スペイン語の試験?

この記事をご覧になっていらっしゃる方は、そもそもDELEがどういう試験かはご存知かも知れませんね。DELEとは、"Diplomas de Español como Lengua Extranjera"の略称です。つまり、「外国語としてのスペイン語」の試験です。この試験は、スペイン政府の教育省(Ministerio de Educación y Formación Profesional)と、国際スペイン語協会(Instituto Cervantes)によって実施されています。

DELEの試験は、スペイン語を第2言語として学ぶ人々に対して、言語能力を評価するための試験です。スペイン語の文法、語彙、読解、聴解、口頭表現のスキルを、A1からC2までの6つのレベルで判断されます。ちなみにC2はネイティブでも受からないと言われる試験で、学術的な言葉や論理的な話し方、まとめ方を、試験向けに勉強していないとネイティブでも合格しません。

日本国内で行われている、日本スペイン協会の「スペイン語技能検定試験」(いわゆる西検)は日本国内のみでの効力で、さらにいえば、試験では日本語への翻訳分野もある(マークシートですが、簡単ではありません)ため、日本語がきちんとできなければ合格できません。在日外国人では、2級以上は特に合格は難しいと思います。

つまり、スペイン語の試験をスペイン語だけで受けるDELEでは、翻訳や通訳の技能は測ることができません。逆に、スペイン語検定だけでは、スペイン語そのものの会話能力があるかを測ることができないのです。通訳の同僚で、DELE C1、C2があるという人で、通訳技術が上手だった人を(今のところ)見たことがありません。

これをわかっていないのか、ネット上のSNSでは「どっちを受けようか」というコメントが散見されますが、日本でスペイン語を使って生きていくのであれば、どちらも受けるのがいいでしょうし、せめてスペイン語検定(西検)を受ける方が良いかと思います。

繰り返しますが、

DELEとスペイン語技能検定試験は別物

です。どちらかを受ければそれでいい、のではありません。こんなことで悩むなら、自分自身のスペイン語が本物かどうか証明したいのなら、両方受ければいいのです。

2回目のチャレンジ、DELE C1

2024年4月。日本では東京外国語大学だけが会場のDELEが行われました。以前板橋が会場だった時、「コロナ禍なのに何百人も行列&炎天下待ちさせられた」経験が嫌で、今回東京外大が会場ということでもあり、試しに申し込みをしてみました。その時は残念ながらNO APTOでした。

今回は場所柄大学生が多いかなと思いましたが、C1に限って言えばそうでもなく、40代、50代と思わしき人も結構見かけました。例えば、TOEICは学生より社会人が有利といわれるように、スペイン語でも語彙力の観点から言えば、若い人よりも長年スペイン語と触れ合っている人の方がいいのかも知れませんね。

4月12日金曜日。朝8時半集合。東京外大のテラスのようなところで開くのを待っていましたが、時間ちょうどに会場オープン。席につき、受験票とIDを用意。しばらくは単語帳を眺めながら、自分の席で時間を潰していました。

今回の2024年試験(日本ではこの4月)からC1、C2の試験内容が一部改訂されるため、それまでの問題集だけを徹底的にやっても(一部は)無意味なこともあり、とにかく語彙力だけはそれらの問題集に出ていたものを集中的にやっていました。

C1の部屋には10名ほどがいたと思います。2020年夏の時は20名くらいはいたような気がしますが…。

受験票とIDはデスクの上に置き、確認が終了したらすぐにしまいました。(以前、免許証を置きっぱなしにしてた人が試験終わりに「ない!ない!」と大騒ぎだったのを見ていたので、しまえてよかった)

試験の進め方は、当時と変わらずです。TAREA 5の文法問題からのスタート。これは2020年試験のコラムをご覧ください。

問題や解答用紙、メモ用紙は持ち帰りはできません。

DELE C1、2024年の主な変更点

今年の変更は、MCERの新しい「ヨーロッパ言語枠組み(2020年版)」に適応させるために改訂されたようです。2012年以来の、最初の公式な変更です。したがって、今回の変更された内容は、今後かなりの年月にわたって続くと思われます。

DELEの試験は、読解、聴解、筆記、口頭テストの4つの試験で構成されています。時間配分はこれまでとまったく変わりませんが、試験全体で2つのTAREAが変更されました。1つの場合は大きな変更、もう1つのはごくわずかな変更です。

まず最初に、TAREA 2のPrueba 1です。これはリスニングのテストで、以前のように単語を空欄に入れる代わりに、12の文(!!!)が与えられます。この中から、オーディオで言及される6つの正しい文章を選択します。

もうひとつは、口頭テストのPrueba 1です。準備室でテキストを読みつくすのは、これは以前と変わりません。同じ長さ、同じ特徴のテキストをしっかりと黙読し、その後試験官のいる部屋に移動し、文章についてのモノローグを5分間話さなければなりません。以前の試験と異なり、作者の意図に触れるだけでなく、テキストの言語、話しのトーン、文章構成についても表現する必要があります。自分の立場をはっきりさせ、テキストで議論されていることについてどう思うか、きちんと述べる必要があります。

ですから、実際に試験を受けてみた感じでは、2023年版までの試験の問題集では、役に立たないものもあります。その場合、とにかく単語は全て完璧になるような使い方をするのも一つの手だと思います。スペイン語で「2024年試験に準拠」と書かれた問題集を購入しましょう。

ただ、ご存知の通りAmazonや国内の店舗で購入するのは非常に高額なため、AmazonのKindleで電子書籍を入手するか、スペインの出版社のサイトで15ヶ月間の電子書籍へのアクセスができる権利(20ユーロ弱)を購入する方が良いと思いますよ。

試験会場、スタッフについて

今回、ドアオープンをしたり、一部の事務的なことは日本人の方がされていました。これは外大の方なのか、試験監督の派遣社員なのかわかりませんが、丁寧な対応でよかったです。こういう仕事をするのに、とてもantipáticoがいるのは非常に残念ですよね。他の仕事しろと思います。今回はそういう人はいませんでした。

ただ、コロンビア人のようなアクセントの男性。セルバンテスの人かも知れませんが、no educadoなのか、sin vergüenzaなのかわかりませんが、彼の態度はとても失礼で、試験前だというのにすごく不快な思いをしました。内容はあえて書きませんが、みながみな「試験にWELCOME」な気持ちで仕事していないのだなと思い、悲しく思いました。今回の試験で、唯一、残念な一件でした。

以上です。

追記 誤用が転じて辞書に載っていますが、コロンビア人の彼は¿Cuál tarea…?と言っていましたが、英語のWhich(疑問詞)と違い、cuálの直後に名詞を置くのは本来のスペイン語では誤りです。cuál de los dos, cuál es la tarea…のようにするのが本来の用法です。日本語の「全然+肯定形」のようなものですので、外国人であるスペイン語話者は正確なものをまず使えるようになってから方言にチャレンジした方が良いと思います。