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【通訳のウラ話】 警察・弁護士の通訳

時々警視庁や各道府県警察で、通訳の募集をしていることがあります。

私は今ほど外国人が多くなるずっと前に登録をしたので、募集などまったくなく、その都度各団体が探していたようなことがあったみたいです。

記事を書いている今ちらっと見たところ、どの国の言語だか全くわからないような言語の通訳を募集していました。

よく「警察24時」で出てくる大半の警察官は、外国語が話せていませんよね。あれは現実です。ほとんどの警察官は、英語でさえままならない人が多いようです。特に、昭和・平成前半のベテランになるほど、外国語はできません。英語さえ話せません。例えば、ある係長が私に言ったのは、ある新聞のタイトルの下にローマ字でその新聞名が書いてあったのですが、「なんでshimbunなんだろうね。shinbunじゃないの?間違ってるよね」と言われました。これはもう、英語以前の問題ですね。(shimbunで正しい)

ただ、警察組織もとても頑張っている側面があります。先の、よくわからない言語の通訳を募集しているように、日本やその地域に多く住む外国人の国の文化や習慣を知ろうとしています。これは、申し訳ないのですが一部の交番勤務や、(接客とはいいませんが)対面応対能力に欠けている警察官は除きます。

その地区の警察署長が理解があり、柔軟な気持ちを持ち合わせているような方だと、そういったセミナーを署員らに受けさせるんですね。本当に素晴らしいことです。

話がそれましたが、ここまでが警察の通訳の話です。

一方、通訳はもうひとつ、別の立場での活躍ができます。それが弁護士会です。むしろ、こちらのほうがちゃんと呼んでいただけます笑

各都道府県の弁護士会で募集があれば、そこに登録をします。そして、事件があり、被疑者に面会をしなければならない時、その警察署から最も近くて時間の都合のつく通訳が呼ばれます。

別の記事に書きますが、そうすると警察署の留置場の面会室に弁護士と共に通され、被疑者の方の今後のことの説明、どうしたいのか、何があったのかなど含め、今後の弁護方針についてのやりとりをします。

警察にしても、弁護にしても、相対する組織のため、両方に登録するのはやめてくださいと言われたことがあったので、今はもう私は両組織の通訳はやっていません。

でも本当は、なぜ逮捕されてしまったのか、これからどうなるのか、どうしたいのか、何があったのか、異国の地に来ている彼らの助けをしたいという気持ちは変わりません。何があろうと、留置場に入ってしまうと、もうほぼ確実に日本で安心して暮らしていくということができなくなる可能性が高いからです。

ですから、これから警察や弁護通訳をめざしたい方は、中途半端ではなく、一語一句しっかりと通訳をしてあげなければなりません。そこにあなたの感情が入ったり、わからない言葉があっておどおどして、適当なことを言い、誤った通訳をした場合、その人の人生を確実に破壊してしまうからです。

警察での通訳、弁護士会の通訳をしたいと思う方は、別の記事に書きますが、被疑者が逮捕されたあと、まずどういう手順で物事が運んでいくのかしっかりと学んでおきましょう。