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"今"と"過去"をつなぐ世界史のまとめ

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2023年11月の記事一覧

鄭成功とは、何者か? "今"と"過去"をつなぐ世界史 Vol.14

"今"と"過去"をつなぐ世界史(14) 1500〜1650年  台湾に「開山王廟」という廟がある。  鄭成功(ていせいこう)という人物が、オランダを台湾から駆逐したのを記念して、死去した1662年に創建された祠だ。  その後、1875年には清朝の大臣によって新しい祠が建てられ、1895年に台湾が下関条約によって日本の統治下に入ると、その翌年には鄭成功を祭神とする神社に改変、その名も「開山神社」と変更された。  さらに第二次世界大戦後、ほかの神社と同様、取り壊しの対象となり

鄭和(ていわ)は、なぜ何度もよみがえるのか? "今"と"過去"をつなぐ世界史(13)

"今"と"過去"をつなぐ世界史(13) 1200年〜1500年の世界 死せる孔明、生ける仲達を走らすというように、英雄は何度もよみがえる。明代の宦官にして武将として知られる鄭和(ていわ)もその一人だが、よみがえりの形は、かならずしも生前のすがたそのものとは限らない。 史上の鄭和は、時の皇帝・永楽帝に見出され、大船団を率いて東南アジア、インド、セイロン島からアラビア半島、アフリカにまで7度にもわたり航海を成し遂げた人物である。 ムスリム(イスラム教徒)であった彼ならば、イ

歴史の扉 No.17 「K-POP」の世界史

コロナ禍1年目、波が一瞬収束したそのタイミングで、たのしい遠足だというのに、生徒たちは「バス車内は静かに」との注意を行儀よく内面化していた。その座席から、つつましくささやく「Dynamite」が聞こえたとき、コロナ禍の鬱々がぱっと晴れるような心持ちがした。2020年、BTSの楽曲「Dynamite」が、アメリカ・ビルボードの総合チャート「ホット100」で初登場1位となった、ちょうどそのころである。いまだに高校生の間でもなかなかの人気であるが、世代の差もあって、それ以前のK-P