見出し画像

うまく行かない日に読みたいマンガ3選

 行きたいと思っていたお店が閉まっていた、突然見知らぬ人に「じゃまなんだよ」と嫌な感じで言われる、などなど立て続けにうまく行かないことが起こると、なんだか今日は世の中のすべてと絶妙にすれ違っている感じがして落ち込む……。そんなときマンガの一コマを思い出して救われることがあります。
 今回は、生きていると起こる「嫌な出来事」の描写がうまいと感じた作品を3作品紹介します。

「急いでるんなら走れよ!ブス」心ない言葉をかけられたときに読みたい『週末、森で』(益田ミリ・幻冬舎)

 翻訳家の早川さんは、雑誌の読者プレゼントで車が当たったことを機に、田舎に引っ越すことにします。田舎に引っ越すというと、「畑をやりながらスローライフですか?」と思いがちですが、早川さんはスローライフに目もくれず、畑もやらないし、田舎といっても駅前の家に住んでいます。そんな早川さんのもとに、都会で働いている友人のマユミさんとせっちゃんが訪れて息抜きをする日常を描いたマンガです。

 注目したいのは、早川さんの友達のせっちゃんです。せっちゃんは旅行代理店で働いている女性。なんと、このせっちゃん、作中でわりと嫌な目に遭っています。例えば、態度の大きい上から目線の客にあたってしまったり、道を歩いていて前方から来た人と同じ方向に避けてしまい、通せんぼ状態になったときに「チッ」と舌打ちをされたり……。極め付けには、路上のキャッチの人の誘いを「急いでいるので」と断ると、

「急いでるんなら走れよ!ブス」

と言われます。
 このような言葉の通り魔的な人ってたまにいます。言われたほうは気持ちのやり場がなくなり、涙さえ出てくることもあります。そんなとき、この一コマを思い出すと、溜飲が下がります。そして、相手を想像のなかでとっちめることに集中できます。

 益田ミリ作品はほぼ電子になっていないため紙で買う必要がありますが、買って損はありません。私は益田ミリのマンガ作品は全て持っています。ぜひ、読んでみてください。
 

他人からイラッとされたときに読みたい『ヤコとポコ』(水沢悦子・秋田書店)

 漫画家のヤコとネコ型アシスタントロボットのポコの日常を描いた本作。いつものように編集部で打ち合わせをしているヤコを、ゲームセンターで待っているポコ。ゲームの残念賞の景品で「ゆっこペン」なるものをゲットします。「ゆっこペン」の特徴は色名。例えば、ポコが残念賞でもらったペンの色は「うらやましかった友達んちの猫色」でした。早速家に帰ってどんな色か試してみると、ポコの色と同じでした。密かに嬉しくなったヤコは、ポコとともに「ゆっこペン」を集めることに……。

 『ヤコとポコ』で注目したい点は、のんびり屋のポコが他人にイラッとされて落ち込んでしまうシーンです。例えば、ポコがゲームセンターで残念賞の景品を選んでいたときのこと。選ぶのが遅いポコにイラッとした係員の人は「そんないいペンなんかないよ!?残念賞なんだから!!」と言い、ポコをビクッとさせてしまいます。また、あるときは、ポコがポストを確認しに行くとピザ屋のチラシが入っていました。チラシを確認していると、後ろからきた女性から「ちょっと!!早くどいてくれる!?」と言われてしまいます。そんな些細だけれど、言われたら少し傷ついてしまうシーンが非常にうまいです。子どものようにピュアで愛らしいポコと真面目でツンデレなヤコのやりとりに癒されるので、疲れているときにもってこいなマンガです。

なんだか世界と噛み合わない日に読みたい『バーナード嬢曰く。』6巻86話(施川ユウキ・一迅社)

 読書家に憧れながらも、読書家でないミーハーな女子・バーナード嬢こと町田さわ子を主人公に、本にまつわる話が展開されていく本作。SFマニアの神林しおり、図書委員でミステリ好きの長谷川スミカ、そして一昔前に流行った本を読むことが趣味で理屈っぽい遠藤くんなど、個性豊かなキャラクターが魅力的です。特に最近ではさわ子と神林の友情の描かれ方が「百合だ」と話題を呼んでいます。

 紹介したいシーンは、最新6巻に収録されている第86話。さわ子から『死をポケットに入れて』という本を借りて、それをポケットに忍ばせる神林。早速読もうとカフェに向かいますが、あいにく満席でした。そのため、公園で読書しようとするも、寒さに負けてしまいます。遠めのカフェに行こうと考えますが、雨が降りそうです。本屋にでも寄ろうかなと考えますが、ポケットに本を入れているため、万引きを疑われそうと思い断念します。結局、なんだか色々とタイミングが噛み合わず、すごすごと家に帰る神林が描かれています。
 神林のようになんだか世界と噛み合っていないと感じる日ってありますよね。そんな日はいさぎよく諦めてしまうのもアリかな、と思わせてくれるお話です。この話以外にも『バーナード嬢曰く。』は、気楽に読める話も多いので気分が落ち込んだときでも読みやすいので、おすすめです。

 うまく行かない日に読みたいマンガを3作品紹介しました。私は今日、書店で知らない人に「じゃまなんだよ」と嫌な感じで言われ、悲しくなりましたが、『週末、森で』のせっちゃんを思い出すことでやり過ごすことができました。マンガや小説はこういうときに自分を支えてくれる、そんなことを再認識した一日でした。さらにネタにしてしまおう精神で記事も書けたし最終的にラッキーです。みなさんが落ち込んだときに読むマンガも教えていただけると嬉しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?