見出し画像

鴨スピーチ見える化計画

鴨頭嘉人のスピーチはYouTubeで見れます。自身でYouTube講演家と肩書を持っているのですから見れます。さらに丁寧に作られている動画になると、鴨さんの動画に字幕テロップが付くので、言葉も見れます。時々熱くなりすぎて涙拭きながら話し続ける姿も見れます。講演の姿、言葉、感情表出。YouTubeで講演をする鴨さんの姿を見て、「この人の所で話し方を学びたい」と【心が動き、行動に移せた】という話し方の学校の生徒は大勢います。

もっと言うと、その鴨さんのスピーチ『鴨スピーチ』を見ずして、30万円を超える高額の教育コンテンツに入学を決めるというのはなかなかないでしょう。
あれだけ話しをする話し方の学校の学長の姿を見ないと【でもここで学べなかったら】という『ネガティブ要素』の影響で【心も動かず、行動にも移せないまま】でしょう。

それでも【動いてしまっているのです】。実際にぼくが入学したクラスは、約100人のクラスメイトが入学しています。会社を経営する代表取締役もいれば、個人事業を手広く展開するビジネスのプロ、福祉の現場で相談を受ける相談員、もっと言えば既に講師として活躍している人も、親子で参加するクラスメイトもいました。

クラスメイトに話しをしていると、入学を決めた理由はそれぞれ違います。異なる状況の中で『話し方』で悩んでいます。会社内でのコミュニケーション、お客さんとのコミュニケーション、家族とのコミュニケーション。話す相手は全員違いますが、一つだけ共通項目がありました。

『そんな時に、鴨さんをYouTubeで見た』

この言葉が出てこないクラスメイトをパッとぼくは思い出せません。
でも【鴨さんの話し方の学校なら話せるようになる】という【根拠】が見ることができるのは、そうですYouTubeなのです。

ただスピーチ分析を学ぶまでは、『なぜか気持ちが動いた』という『なぜか』で心の動きの分析が止まっているのです。これはもったいない。目の前に心を動かし、行動にまで動かせるという、力のあるスピーチが、無料で数千以上配信されているのですから。

つまり、鴨Tubeを分析すれば。

鴨スピーチの構造を見える化すれば、それは『誰でも話しが伝わる』を理解できるという事になります。大切なのは理解できると使えるようになるのは別というのは理解しないといけません。麻婆豆腐の作り方を理解しても、食材を炒めるタイミング、熱した油のパチパチという音から火力の調整、味見をして塩味、辛味を足していく、ということは瞬時にこなせないということです。

常に相手に【言葉をプレゼントする】ということの【習慣化】の先に【意識も行動も変わるスピーチ】を生み出したり、話せたりするのです。

ではぼくがなぜ鴨スピーチを分析し、このように見える化するのか。なぜスピーチを科学して分析しているのか。

それは『胡散臭い』から鴨Tubeは見ない、という学びの機会の社会的損失を減らしたいからです。『胡散臭い』それなのに『影響力がある』と気づいた時は分析のチャンスです。

動画の内容によっては鴨さんの【根拠】となるエピソードや、視聴者の覚えやすい【パッケージの言葉】が抽象概念の時に、受け取れないこともあるでしょう。そして胡散臭いと見ることをやめます。

でも人は動いている。高額の教育コンテンツやYouTube対談の権利もすぐに、学びを深めたい人の手に渡っている。なぜだ、これは、人を動かす『話し方の構造』があるに違いない。つまり話している内容ではなく、伝わる話し方の仕組みを分析して、科学して、話し方の構造を見える化する視点で鴨Tubeを見れば、最強の『スピーチ学習のコンテンツ』になり得るのです。

例えばの話をしてみましょう。具体的な事象を抽象概念で捉え、さらに具象化する仕組みを『アナロジー思考』と言います。えんとつ町のプペルの西野亮廣さんが絵本という具体的な自分の作品を、自身の講演会や、絵本を題材にした展覧会、光る絵本展のおみやげとして買ってもて帰ってもらい、その絵本をおみやげとして持ち帰った人が、えんとつ町のプペルを思い出す。結果、絵本はおみやげになり、そして映画公開時には映画宣伝のチラシとしての効果を上げる、という考え方です。絵本は具体的なこと、家に持って帰ってもらう物=おみやげは抽象、そのおみやげが映画の広告のチラシとして機能するのが具象化です。

この『アナロジー思考』というエッセンスを理解し取り込んだ上で、西野亮廣さんのビジネス書を読む、読まないでは得られる価値に変化が起こります。

このように、鴨スピーチの価値を変えたいのです。鴨スピーチを、スピーチの構造分析の視点をプレゼントしたいというのがぼくの想いです。無料で配られている動画に学びの価値をさらに付与したいのです。

では一つ、ここで10分ほどの鴨スピーチを分析してみましょう。

2019/4/22投稿
「人生が変わる2つ習慣」ほんのちょっとだけ毎日やること
https://youtu.be/lZHTp-6luTM

これは講演会中の参加者の質問に答えた時のスピーチです。

まず【聴き手】は【鴨頭嘉人の講演会参加者】
そして【聴き手の状態】は【しあわせになりたいけど、方法がわからない】
スピーチの【目的地=聴き手の意識や行動の変容】は【しあわせだなぁと思うようにして、しあわせだなぁと言うようにしよう】です。

【オープニング】スピーチの冒頭は、自分自身の無知、未熟、傲慢を自己開示します。その上で「しあわせってなんだっけ?」という状況ありませんか?と仕事の現場を例え話で出し【聴き手の頭の中に絵を浮かばせ】、能動的な聞くから、受動的な自分もそうかも、という聴く姿勢に変えます。

次に聴き手にとって【でもさぁ】という意識の変化や行動を止めようとするネガティブを【やってみよう♪】と受け取れるために鴨さんが体験した話しが始まります。スピーチでいう【ボディ】というパートです。

ここでは鴨さんの奥様、アキコさんとの【エピソード】を話しています。おそらくですが、質問者の方、もしくは参加者に結婚されている方が多く見えた講演会だったのでしょう。なので聴き手を【講演会参加者→講演会参加者で結婚している人】とスライドしています。ここが鴨さんのプロの部分です。聴き手に合った解像度の話しを引用します。そして【聴き手】にとって結婚はネガティブであろうと仮説を立て、自らの体験を話し出します。つまりこのスピーチは【エピソードタイプ型】です。

エピソードタイプスピーチは
状況→出来事→気づき、という流れで話しが展開していきます。

状況は、鴨さんの周囲の結婚している先輩たちは、結婚はしあわせじゃないと言っていた。その状況も【セリフを多くし情景を浮かばせる】話し方で、しかも結婚は大変だと思わせる事例も、お金の自由がない、時間の自由がない、遊びに行く自由がないと【3つ並べて】より、聴き手の共感を高めます。やはり3つ事例が並ぶと、確かに結婚はしあわせじゃないかもと意識が浮かびます。

そして出来事は、鴨さんとアキコさん夫婦の会話のやりとりを話します。結婚して自分の話しを受け止めてもらうとしあわせは一人の時より倍に増える、落ち込みマイナスの時には話しを受け止めてもらうとプラスになる、と話します。

ここで講演家鴨頭嘉人の真骨頂は、次に聴き手に起こるであろう【でもさぁ】というネガティブをイメージできていることです。『でもさぁ1年目だからだよ』という聴き手の心の声を逃しません。そこで、周囲に言われたけども、結婚18年目の今の方がしあわせだと。先輩たちにも言い返してやりたい、と続きます。ここでは結婚して18年の今の方がしあわせという、【自らの体験】【数字という実証】が効果的に説得力を生んでいます。この出来事のパートでは会話のやりとりを鴨さんとアキコさんとの夫婦の会話を【セリフ】で話すことで、夫婦の情景が浮かばせてます。このことで説明や説得のような話し方でなくなります。ドラマを見ているような感覚です。

そして、気づきです。鴨さんがこれこそしあわせだということはたった一つと言った後に、たっぷり【間】、何も言わない時間を取ります。秒数にすると『7秒』。あれだけ喋り倒す講演家が7秒も話しません。そのことで聴き手は、ここから重要な言葉が出てくる、大切な言葉はここだ、自分だったら何だろうか、そんな聴き手の気づきを待つのがこの【間】なのです。さらにこれだけ待って出てきたことが『しあわせだと思うこと』という誰でもできる【コンパクトでシンプルな意識の変化】を伝えます。そして聴き手の設定を【講演会参加者で結婚している人→講演会参加者】に戻し、今自分がしあわせに働いているという【ワクワクする未来】を話します。これはしあわせでないbeforeからしあわせなafterをイメージさせることで、よりポジティブな感情を生み出しています。前半の楽しそうな雰囲気と後半の落ち着いたシリアスな内容の【GAP】も見どころです。

そして【クロージング】、スピーチの一番最後の印象に残るパートで『しあわせだなぁとつぶやき、しあわせだなぁと思おう』と【コンパクトでシンプルな行動】をプレゼントするのです。

そしてこの時に【オープニング】での自分の未熟さを語る効果が効いてきます。冒頭に鴨さんが無知で未熟で傲慢と自ら認め、アキコさんとの結婚のおかげで、結婚はしあわせだと気づけ、しあわせと思ったりつぶやくことを、今でも自ら、自分の組織で実践していると話すことで、鴨さんだから出来たことではなく、鴨さんでも未熟だったのか、自分も変われるかもしれない、という【心理的上下関係】まで意識され尽くしているスピーチなのです。

このように鴨Tube10分の動画の中にも、話し方の型、聴いている人の状況や状態の想像、その人たちが動かないネガティブは何か、それを覆すポジティブは何か、そしてどのような意識の変化と行動の変化をプレゼントすればいいのかが組み立てられているのです。

これが、鴨スピーチの設計図の見える化なのです。人を動かす言葉の分析なのです。鴨Tubeを見るときも、「あっ!これってエピソードタイプの話だ」「お!間がたっぷり出てきた大切なことを言うぞ」「なるほど根拠は社会的なデータで説得力があるのに行動は簡単にできそう!」など、新しい視点で鴨Tubeを見れるのではないでしょうか。

ぼくはこの鴨スピーチ研究所で、このような形で鴨Tubeを因数分解、分析、そしてスピーチを科学していきます。YouTubeには何千個も鴨スピーチあるんですからね。。。ワクワクしませんか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?