「世界はジャズを求めてる」2021年10月第1週(10月7日)放送分スクリプト(出演 村井康司)#鎌倉FM
テーマ曲:What A World Needs Now Is Love/Stan Getz
こんばんは、毎週木曜午後8時からお送りしている「世界はジャズを求めてる」、第一週は音楽評論家の村井康司がお届けします。
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*10月になりました。秋たけなわですね。秋といえば「食欲の秋」、食いしん坊の私は一年中食欲の季節なんですが、今日はジャズの曲でフルコースを作ってみたいと思っております。まずはこれを。カウント・ベイシー・オーケストラで「Dinner With Friends」をお送りします。
M1 Dinner With Friends / Count Basie Orchestra
*カウント・ベイシー・オーケストラのアルバム『April In Paris』から、「Dinner With Friends」でした。みんなでわいわいとご馳走を食べよう!という、実に楽しくスウィングする曲でしたね。さて、まずはワインを注文しましょうか。ワインの曲といえばまずこれですよね。エラ・フィッツジェラルドとジョー・パスのデュオで「The Days of Wine And Roses」、「酒とバラの日々」です。
M2 The Days of Wine And Roses / Ella Fitzgerald and Joe Pass
*エラ・フィッツジェラルドとジョー・パスのデュオで「The Days of Wine And Roses」、「酒とバラの日々」」でした。この曲は美しいメロディを持っていていろいろなジャズ・ミュージシャンが演奏していますが、もともとは映画主題歌。アルコール依存症の夫婦が主人公の、かなり暗い映画なんですよね。
ワインが来たところで、次はパンです。リー・モーガンのアルバム『コーンブレッド』から、タイトル曲「Cornbread」をお聴きください。
M3 Cornbread / Lee Morgan
*リー・モーガンのアルバム『コーンブレッド』から、タイトル曲「Cornbread」でした。コーンブレッドというのは、とうもろこしの粉を使って作るアメリカの庶民料理です。ジャズの曲目に出てくる料理は、いわゆるソウルフードというか、アフリカン・アメリカンの庶民的な料理が多いんですよね。
では前菜に行きましょう。前菜としてはちょっと重いけど、ミートボールはいかがでしょうか。もともとシンガー=ソングライターのジェームス・テイラーのバックバンドだった「ザ・セクション」のアルバムから、ゲストにテナー・サックスのマイケル・ブレッカーを迎えた「Doing the Meatball」です。
M4 Doing the Meatball / The Section
*「ザ・セクション」の、マイケル・ブレッカーのテナー・サックスをフィーチュアした「Doing the Meatball」でした。メンバーは、ダニー・クーチのギター、クレイグ・ダージのキーボード、リー・スクラーのベース、ラス・カンケルのドラムスです。彼らのうち、クレイグ・ダージ以外の三人は今でも一緒に活動していまして、日本にも何度か来ています。
次の曲は魚料理にしましょう。1940年代に人気者だった、ヴォーカルとサックスのルイ・ジョーダン。土曜の夜に魚のフライを食べて盛り上がろう、という「Saturday Night Fish Fry」を聴きましょう。
M5 Saturday Night Fish Fry / Louis Jordan
*ルイ・ジョーダンと彼のティンパニ・ファイヴで、「Saturday Night Fish Fry」をお送りしました。こういうおどけた感じの音楽は、「ジャイヴ」と呼ばれて40年代ぐらいにアメリカ黒人たちの間で流行しました。
魚の次は肉ですよねえ。「濃厚な肉汁」という意味の曲をご紹介します。カーラ・ブレイ・ビッグバンドの演奏で「Greasy Gravy」です。
M6 Greasy Gravy / Carla Bley Bigband
*カーラ・ブレイ・ビッグバンドの演奏で「Greasy Gravy」でした。あんまりコテコテの肉汁っぽくなくって、むしろエレガントな味わいもある曲ですね。では、ということで、今度はかなりコテコテのソウルフードをいただきます。ケニー・バレルのアルバム『ミッドナイト・ブルー』から、「Chitlins Con Carne」です。
M7 Chitlins Con Carne / Kenny Burrell
*ケニー・バレルのアルバム『ミッドナイト・ブルー』から、「Chitlins Con Carne」でした。チトリンというのは豚の小腸のことだそうで、まあホルモンですね。ブルースやリズム&ブルースの、アメリカ南部のツアーを回ることを「チトリン・サーキット」と呼んだりもします。これも典型的なソウルフードですね。
さてさて、コテコテ料理でそろそろお腹がいっぱいになってきました。ここからはデザートです。まずはバナナの揚げ物、フライド・バナナを注文しましょう。デクスター・ゴードンのアルバム『ソフィスティケイテッド・ジャイアント』から「Fried Bananas」をお聴きください。
M8 Fried Bananas / Dexter Gordon
*デクスター・ゴードンのアルバム『ソフィスティケイテッド・ジャイアント』から「Fried Bananas」でした。この曲はスタンダードの「It Cpould Happen To You」のコード進行を使ったデクスターのオリジナルで、ここではトロンボーンのスライド・ハンプトンが編曲した小型オーケストラが伴奏を務めています。
バナナの揚げ物というのもけっこうヘビーですね。次はアイスクリームで気分を変えましょう。リー・コニッツのアルバム『サブコンシャス・リー』から、「Ice Cream Konitz」です。
M9 Ice Cream Konitz / Lee Konitz
*リー・コニッツのアルバム『サブコンシャス・リー』から、「Ice Cream Konitz」でした。この曲はデューク・エリントンの「パーディド」という曲のコード進行を借用したコニッツのオリジナルです。
アイスクリームの次はブドウを食べます。「ブドウの皮を剥いて」という曲、アニタ・オデイのヴォーカルで「Peel Me a Grape」をお聴きください。
M10 Peel Me a Grape / Anita O’Day
*アニタ・オデイのヴォーカルで「Peel Me a Grape」でした。
葡萄をむいてちょうだい、氷を割ってよ、
桃の皮をはがしてね、ピローのけばをとらないで。
タバコを吸わせてね、話しかけてよ素敵に。
あなたは私をワインで酔わせて
ご馳走でお腹いっぱいにしてくれたわ。
私をしつけようとしないで、
チャーメンを食べたいの。
私をもてなす最高の方法は:
オードブルを私にちょうだい。
お腹がぺこぺこになったわ、
葡萄をむいてちょうだい。
という、実にわがままな望みを歌うおもしろい曲です。
さて、今日のお別れはお茶で。ニック・デカロのヴォーカルで「Tea For Two」「二人でお茶を」をお聴きください。
M11 Tea For Two / Nick DeCaro
*「世界はジャズを求めてる」、 10月第一週のお相手は、音楽評論家の村井康司でした。ジャズによるフルコースの1時間、いかがでしたでしょうか。来週の進行役は、音楽書籍編集者の池上信次さんです。
では来週も木曜午後8時から、鎌倉FMにチューンインを! またお会いしましょう!
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世界はジャズを求めてる」は鎌倉FMで毎週木曜午後8時から1時間(再放送は毎週日曜昼の12時から)、週替りのパーソナリティが、さまざまなジャズとその周辺の音楽をご紹介するプログラムです。
進行役は、第1週が村井康司、第2週が池上信次、第3週が柳樂光隆、第4週がeLPop(伊藤嘉章・岡本郁生)、そして第5週がある月はスペシャル・プログラムです。
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