「世界はジャズを求めてる」2021年11月第1週(11月4日)放送分スクリプト(出演 村井康司)#鎌倉FM
テーマ曲:What A World Needs Now Is Love/Stan Getz
こんばんは、毎週木曜午後8時からお送りしている「世界はジャズを求めてる」、第一週は音楽評論家の村井康司がお届けします。
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*今日はちょっと変化球というか、5週目のラテン・チームの向こうを張った趣向でお届けしたいと思っています。どういう趣向かというと「ラテンやボサノバ、サンバなどのリズムを採り入れたジャズメン・オリジナル」を集めてみようかな、と思ったわけです。
ですので、アメリカでもないしカリブ海でもないしブラジルでもないし、でもどこかそういう香りもする、という、ありそうでない国への音楽旅行を楽しんでいただければ、と思っております。
まずはチャーリー・パーカーがラテン的な雰囲気を醸し出そうとして作った「マイ・リトル。スエードシューズ」という曲を、アート・ファーマーのフリューゲルホーンとジム・ホールのギターをフィーチュアした、アート・ファーマー・カルテットで聴きましょう。
「マイ・リトル・スエードシューズ」です。
M1 My Little Suede Shoes / Art Farmer Quartet
*アート・ファーマー・カルテットのアルバム『インターアクション』から、「マイ・リトル・スエードシューズ」でした。パーカーが作った曲の次は、ビバップのもうひとりの立役者、ディジー・ガレスピーの名曲「ア・ナイト・イン・チュニジア」、「チュニジアの夜」を。今日は、アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズの演奏を選んでみました。
M2 A Night In Tunisia / Art Blakey and Jazz Messengers
*アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズのアルバム『ア・ナイト・イン・チュニジア』から、タイトル曲「ア・ナイト・イン・チュニジア」、「チュニジアの夜」でした。メンバーはリー・モーガンのトランペット、ウェイン・ショーターのテナー・サックス、ボビー・ティモンズのピアノ、ジミー・メリットのベース、そしてリーダーのアート・ブレイキーのドラムスでした。
さて、今までの2曲はラテン音楽っぽいリズムでしたが、今度はボサノバやサンバのリズムを使った曲です。サド・ジョーンズ=メル・ルイス・オーケストラのアルバム『ニュー・ライフ』から、メンバーのセシル・ブリッジウォーターというトランペッターが書いた「ラヴ・アンド・ハーモニー」を聴きましょう。
M3 Love and Harmony / Thad Jones Mel Lewis Orch.
*サド・ジョーンズ=メル・ルイス・オーケストラのアルバム『ニュー・ライフ』から、「ラヴ・アンド・ハーモニー」でした。この曲のテーマをフリューゲルホーンで吹いているのはリーダーのサド。ジョーンズで、途中サンバのリズムに乗ってトランペット・ソロを吹いているのがこの曲の作者であるセシル・ブリッジウォーターです。
ボサノバのリズムを使った曲をもうひとつ。ハービー・ハンコックのアルバム『スピーク・ライク・ア・チャイルド』から、タイトルチューン「スピーク・ライク・ア・チャイルド」です。
M4 Speak Like A Child / Herbie Hancock
*ハービー・ハンコックのアルバム「スピーク・ライク・ア・チャイルド」でした。
このアルバムは、ハンコックを中心としたピアノ・トリオに、フリューゲルホーン、アルト・フルート、バス・トロンボーンという柔らかい音の出る管楽器3本によるアンサンブルが付く、というユニークな編成です。そしてここでフリューゲルホーンを吹いているのは、さきほどの「ラヴ・アンド・ハーモニー」でもフリューゲルホーンを吹いていたサド・ジョーンズなんですね。
しっとりとした曲の次は、派手でぶっとんだ演奏を聴きましょうか。アルバート・アイラーのアルバム『ニュー・グラス』から、カリプソ的なリズムの「ニュー・ゴースツ」です。
M5 New Ghosts / Albert Ayler
*アルバート・アイラーのアルバム『ニュー・グラス』から、「ニュー・ゴースツ」を聴いていただきました。アイラーのテナー・サックスも強烈ですが、あの歌がヘンですよねえ。さて次なんですが、キース・ジャレットがボサノバ風のリズムを採り入れて作った「ソー・テンダー」です。『スタンダーズ vol.2』というアルバムからの演奏です。
M6 So Tender / Keith Jarrett
*キース・ジャレット『スタンダーズ vol.2』から「ソー・テンダー」でした。メンバーは、キース・ジャレットのピアノ、ゲイリー・ピーコックのベース、ジャック・ディジョネットのドラムスです。さて次はある意味でキースと正反対の個性を持つピアニスト、レイ・ブライアントがキューバ音楽を意識して作ったオリジナル曲「クバーノ・チャント」をお聞きください。
M7 Cubano Chant / Ray Briant
*レイ・ブライアントの「クバーノ・チャント」でした。親しみやすいメロディとリズムが受けて、この曲はレイ・ブライアントの代表曲になりました。
次の曲は、サックスのジョシュア・レッドマンのオリジナルです。アルバム『ムード・スウィング』から、ボサノバのリズムを採り入れた「アローン・イン・ザ・モーニング」をどうぞ。
M8 Alone in The Morning / Joshua Redman
*ジョシュア・レッドマンの1994年のアルバム『ムード・スウィング』から「アローン・イン・ザ・モーニング」でした。メンバーは、ジョシュアのテナー・サックス、ブラッド・メルドーのピアノ、クリスチャン・マクブライドのベース、ブライアン・ブレイドのドラムスです。
さて、最後の曲になってしまいました。カリブ海音楽を採り入れたジャズメン・オリジナルといえば、この曲を忘れるわけにはいきません。ソニー・ロリンズの名盤『サキソフォン・コロッサス』の1曲目「セント・トーマス」を聴きながらお別れしましょう。
M9 St.Thomas / Sonny Rollins
*今聴いていただいているのは、ソニー・ロリンズの「セント・トーマス」です。「世界はジャズを求めてる」、 11月第一週のお相手は、音楽評論家の村井康司でした。ラテンやボサノバのリズムに乗せてのジャズ、いかがでしたでしょうか。来週の進行役は、音楽書籍編集者の池上信次さんです。
では来週も木曜午後8時から、鎌倉FMにチューンインを! またお会いしましょう!
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世界はジャズを求めてる」は鎌倉FMで毎週木曜午後8時から1時間(再放送は毎週日曜昼の12時から)、週替りのパーソナリティが、さまざまなジャズとその周辺の音楽をご紹介するプログラムです。
進行役は、第1週が村井康司、第2週が池上信次、第3週が柳樂光隆、第4週がeLPop(伊藤嘉章・岡本郁生)、そして第5週がある月はスペシャル・プログラムです。
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