共に生きる 〜人間と、動物と、地球と〜 by 大山和奏 / 秋田高等学校(秋田県)#生物多様性を守ろう

Leave no one behind
2030年、今から10年後どんな世界になっているでしょう?
未来は、私たち一人一人の行動にかかっています。

SDGs
SDGsは、2001年に策定されたMDGs(ミレニアム開発宣言)の後継として2015年に採択されました。17のゴール・169のターゲットから構成されており、持続可能でより良い世界を目指す国際目標です。SDGsは、地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓っています。

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SDGsの現状は?

ベンテルスマン財団と持続可能な開発ソリューション・ネットワークは6月30日に、各国のSDGs達成状況を分析したレポート「SDG Index and Dashboards Report 」の2020年版を発行しました。
上の表は、日本の達成度を示しています。赤は「最大の課題」、オレンジは「重要課題」、黄色は「課題が残っている」、緑は「達成できている」を意味しています。
166カ国中17位の日本は、まだまだ課題が残っていることが読み取れます。また、良くなっているところもありますが、逆も見られます。このままでは、2030年までにSDGsを全て達成するのは困難だと予想されます。これらの結果を重く受け止め、達成に向けて国全体、そして世界全体が協力し合うことが大切です。    
 「最大の課題」の段階となっているのは、5つあります。そのうち2つである14・15は、生物多様性に深く関係しています。

生物多様性においてのSDGs
生物多様性においてSDGsを達成するために重要視されているのは、戦略計画2011-2020のビジョンとミッション及び個別目標 『愛知目標』です。愛知目標は、愛知県名古屋市で開催されたのにちなんで「愛知目標」(ポスト2010年目標(2011-2020年))と呼ばれています。
2050年までの長期目標 「自然と共生する世界の実現」
2020年までの短期目標 「生物多様性の損失を止めるために、効果的かつ緊急な行動を実施」及び20の個別目標(愛知目標)
SDGsのゴール14・15の中には、愛知目標から引用されたターゲットが多数存在しています。

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結果として、ほとんどの愛知目標でかなりの進捗が見られましたが、完全に達成できたものはない、という結果でした。そして、2050年までの長期目標の達成についても、「今まで通り」から脱却し、社会変革する必要があるということが分かりました。この結果を元に、2021年に次期生物の多様性国家戦略の策定が行われます。 

達成に向けての取り組み・課題  
 〈希少動植物の保全〉
〜環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性主流化室 沢登 良馬さん〜
‘環境省自然系職員’とはどんな仕事か知っていますか?それは、自然共生社会の実現を目指して環境省で働く技能系職員です。主に、国立公園の管理や希少種生息状況調査、密猟対策、外来種対策、世界自然遺産登録事務などを行います。   
Ex )希少動物保全→フン粒調査で生息状況把握
【データ収集⇨分析・検討⇨希少種保護に関する施策の推進】      
このような方々の努力がなければ、希少動物保護は成り立ちません。このことから、日本の生物多様性を守ってくれる、とてもありがたく、重要な仕事だと思います。そして、このような方々に守ってもらうだけではなく、私たちもできることを探して協力することが求められると感じました。

〈‘みんなで’環境保護〉
〜国連生物多様性の10年市民ネットワーク 宮本 育昌さん〜
ここでは、‘市民’が取りうる取り組みについて、たくさんお話ししていただきました。ここでの‘市民’とは生物多様性条約を例とすると、締約国、非締約国、国連機関、政府間機関、原住民と地域社会、NGO、若者、女性、産業界、学術界を指します。

まず、現場での保全活動です。開発の抑止・代替案の提示、自然環境の維持・整備、生態系・生物モニタリング・絶滅危惧種の域外飼育などが挙げられます。

次に、保全を行う人の能力開発です。例として、保全対象の科学的理解、保全方法論の理解・習得・実践訓練、関係者との連携ノウハウの習得、組織ノウハウの取得などです。

そして、保全の世論形成に向けた普及啓発については、現場見学会やパンフレットの配布、インターネットでの発信、セミナー、記事掲載、キャンペーンなどが挙げられます。

他にも、国際政策への提言、国際条約への提言も重要となってきます。

しかし、課題もあります。サンゴの大規模白化現象や観光客によるサンゴの破壊、生態系のバランスの崩壊などです。

このお話を聞き、世界が、国が、地域が、そして一人一人が問題意識を持つことの大切さを実感しました。また、無知によるサンゴの破壊があると聞き、正しい知識を普及させることが今後大切であると思いました。

〈植物の可能性〉
〜農研機構遺伝資源センター 内藤 健さん〜
突然ですが、みんな知っている、アズキ。その野生種は何種類あると思いますか?

答えは、104種類!実はアズキは、すごく高い多様性を持っているのです。
内藤さんは、今農業ができない土地でも栽培ができる作物を作るために、日々、研究をされています。その場所ごとの環境ストレスに強いアズキを選べば、栽培することができます。それが可能になれば、生物多様性の課題だけではなく、貧困問題にも対応することができます。
これらのことは、アズキの可能性を広げたと共に、他の植物の可能性も広げました。このような研究分野でも、SDGsに貢献しています。

〈動物の管理と情報発信〉
〜NPO法人ピッキオ代表 楠部 真也さん〜
 動物の管理の面では、ベアドッグについてご紹介します。ベアドッグとは、特別な訓練を受けた犬で、大きな声で吠えたて、クマを森の奥に追い払うことができます。傷つけたり駆除するのではなく、教育し、人とクマの境界を教えています。

ここで少しお伝えしておきたいのは、人里に出てくるクマは、森の奥にいる強いクマか、人間かという選択を迫られ、人間の方を選んでいるクマだと言うことです。クマにもクマの事情があるのです。それを人間が理解しているのとしていないのでは、対応・感じ方に大きな違いが生じると思います。このことから、人間側も正しい理解をすることが求められます。

次に、情報発信についてです。ここ数年、海外の学会に参加したり、観光と絡めて海外メディアの誘致を実施したり、海外インターンを集めて情報発信をしたりというのを行なっています。
課題としては、日本の発信力が弱いこと、日本の報道が世界とリンクしていないことが挙げられます。

海外から見たら日本は、鯨とイルカを食べる民族と認識されているそうです。みんながみんな食べているわけでもなく、毎日食べているわけでもありません。情報発信力が弱いために、誤解が生まれ、偏見を持たれてしまうのです。

それは、生物多様性においても同じでした。日本は、自然保護において外国に劣っているわけではないのに、それが認識されていません。それはなぜか。情報発信が十分ではないからです。

また、日本の報道にも難点があります。それは、世界とのギャップです。外国ではトップニュースになるような国際的なことに関するニュースでも、日本ではそれほど重要視されないことが多々あります。そうなると、日本人のそのニュースに対する認知度は必然的に低くなります。

これらのことを踏まえると、外国と対等に議論するためには、十分な情報発信でアピールすること、多方面にアンテナを張ること、相互理解を深めることが大切になってくると感じました。

私たちにできること 簡単なものから,ひとつずつ。
 SDGsを達成するために、私たちができることは何でしょうか?
・エコラベルのついた商品の購入 

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・MY行動宣言  5つのアクションから自分にできそうなことを選び、宣言しましょう。
・Reef Check ‘Everyday Actions’ 一つでも多く実践し、海を守りましょう。 
http://coralnetwork1.blog34.fc2.com/blog-category-8.html
・積極的な情報発信  世界に声を届けましょう。広くアンテナを張りましょう。
・相互理解  偏見を持たれないように、そしてこちらも持たないように、相手を尊重し、理解しましょう。

一人一人が意識しなければ、状況は変わりません。

まとめ
今回、私が「生物多様性を守ろう」というテーマで探究してみて感じたのは、生き物は全てどこかで繋がっていて、どんな生き物も単体では生きていくことができない、ということです。動植物についてはもちろんですが、これは人間にも例外なく当てはまります。全てがバランス良く存在するからこそ、世界が成り立つのだと思います。どこかが抜けていれば、そこからどんどん崩れていきます。
だから、私たちは生物多様性を守らなければなりません。
みんなで、生き物を、地球を守りましょう。

未来をつくるのは、私たち一人一人の行動です。

 ‘誰一人取り残さない’世界の実現へ。


秋田高等学校(秋田県)大山和奏
#せかい部 ×SDGs探究PJ高校生レポーター(生物多様性を守ろう)

#せかい部 ×SDGs #生物多様性を守ろう #誰一人取り残さない


参考文献
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html
http://www.biodic.go.jp/biodiversity/about/aichi_targets/index_02.html
https://www.sustainablebrands.jp/news/os/detail/1197191_1531.html
https://sustainablejapan.jp/2020/07/01/sdg-index-2020/51485
https://picchio.co.jp/about/bear/

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