ごみ屑女
私の好きな男は捻くれ者でいつも何かを考えている。あと保身的で嘘吐き。それからギャンブラーでヤニカスで八割方ニート。その癖人の痛みに対する理解だけは物凄く高い。私はこの男に生きる意味をうまれて初めて教えて貰った。私は心の底から彼を尊敬し、大切に思っていた。
でも私が選んだ男は特になあんにも考えていなくて、無駄に素直。自分に激甘で、いい歳こいて金を祖母から貰っている富裕層馬鹿。デリカシーなんてものはすこしもなくて兎に角失礼な奴。でも私の事を心の底から愛してる。本人曰く何があっても好きでいる自信があるらしい。
私は前者の男を追いかけるために後者の男を見捨てようとしたが罪悪感により失敗に終わる。後者の男と再度交際を決意するも好きな男の名前は塗り変わらなかった。
これからは自分を偽り、痛ましくも図々しく息をし続けることになる。泥まみれで無様なこの鼓動がこの世から消える迄。
私には愛に生きる資格は無い。
「好きだよ」
さよならの味がする口で私は偽物のキスをする。
それはそれは最低で涙が溢れて止まらない程惨めで苦い味。