やっぱり隅っこが落ち着くんだよなぁ
「電車の横並びの6人座れるような席でさ」
「うん」
「なぜか真ん中から座る人っているじゃん?」
「ああ、端っこが空いてるのにってこと?」
「そうそう。あれって何でなんだろうな? 絶対端っこの席の方が落ち着くのに」
「ソーシャルディスタンス的な?」
「や、今のご時世それもあるけど。それ以前に、端っこの席のほうがいいじゃん。だって、端っこの席だと人が座る可能性があるのは、片側だけだけど、真ん中だと両側警戒しなきゃいけないってことだぞ」
「警戒って…」
「あとは、牛丼屋のカウンターとか」
「牛丼屋?」
「端っこから座ればいいのに、中途半端に真ん中の方から座るから、一つ席を空けて座ると、なんかずれちゃって一人座れなくなるんだよ。伝わる?」
「うーん。なんとなくは」
「伝われ、この気持ち」
「そんなに熱い気持ちなの?」
「それから、カフェとかではさ、絶対に隅っこの席がいい」
「隅っことか端っこが好きなんだね。よくわかった」
「できれば、隅の端の角の奥で背中は壁がいい」
「どんだけだよ。もう壁にめりこんでるだろ」
「俺さ、背後とられると死ぬんだよね」
「は?」
「いやさ、本読んでても、スマホみてても、背後に人がいるって思うと全く集中できないんだよ」
「気持ちはわかるけど、死ぬってなんだよ」
「いや、それくらい落ち着かないってこと。きっとさ、俺の前世はゴルゴ13だったんだよ」
「は?」
「ゴルゴ13って背後に立たれるのすげぇ嫌うんだぜ。知ってた?」
「知ってるけど、ゴルゴは今世にいるから、漫画だけど」
「だから俺、眉毛濃いいんだろうな」
「いや、関係ないから。ゴルゴ今世にいるから」
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